システム障害8回「みずほ銀行」がグダグダすぎてメガバンクから脱落する日

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10年ごとの危機

 2021年、金融業界で最も大きな話題になったのは、みずほ銀行のシステム障害問題だろう。年末にも人為的なミスとはいえ、他銀行に振り込みができない不具合が発生し、またかとため息をついた方も多いに違いない。同行では2月以降、計8回のシステム障害が連発し、11月に金融庁から業務改善命令、財務省から外為法に基づく是正措置命令を受けた。

 みずほは第一勧業、富士、日本興業の3行が統合し発足した2002年4月と、東日本大震災直後の11年3月にも大規模システム障害を引き起こしており、ほぼ10年ごとに自ら危機を招いてきたことになる。大手新聞社の経済記者がこう解説する。

「金融庁幹部は『みずほは過去のシステム障害から何も学んでいない。経営陣の独善や暴走を防ぐようなガバナンス(企業統治)体制が甘い。組織内の情報共有がグダグダだ』と激怒しています。システム障害の背景にあるのは、“風通しの悪さ”。上司や他の部署への報告をためらうような雰囲気があるんです。組織のカルチャーが変わらなければ、今年もさまざまなトラブルが起きかねません。そうなれば、日本の3メガバンクから、みずほ銀行が脱落する日が来る可能性は高く、今年が正念場になりそうです」

「ネットのニュースで初めて知った」

 昨年、最初のシステム障害が表面化したのは2月28日だった。みずほはシステムに負荷が掛かりやすい月末にデータ移行作業を実施しており、そのトラブルで全国の現金自動預け払い機(ATM)の8割に当たる約4300台が一時的に停止してしまった。キャッシュカードや通帳を吸い込むトラブルが多発し、コールセンターの電話がパンクしたという。にもかかわらず、藤原弘治頭取は行内からの報告ではなく、「インターネットのニュースでトラブルを初めて知った」とのんきなもので、お粗末な情報管理体制があらわになった。

 3月には通信ネットワークのハード面の故障によるATM停止、外貨建て決済システムの停止など、さらに3件のトラブルが発生。みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長とみずほ銀行の藤原頭取は続けざまに会見で釈明を求められた。ある大手銀行の幹部は、「トップが何度も会見をせざるを得ない状況は、銀行としては最悪の事態」と語っていた。

 金融庁は春にはシステム障害の背景に経営体制の問題があるとみて、システム専門家と金融経営に詳しい検査官らのチームをみずほとFGに派遣し、トラブルの原因究明に乗り出した。ある霞が関官庁の官僚は、「金融庁は当初、8月にはめどを付けて検査チームを引き揚げさせ、みずほとFGに業務改善命令を出す方向でした」と話す。

「ところが、金融庁が検査を始めたところ“病巣”は想像以上に深く、検査チームの担当者たちは『みずほのトラブルの背景には構造的な問題がある』と判断せざるを得なくなりました。結果的に、担当者らは『システムではなく、組織の意思決定に問題があるに違いない』と、みずほとFGに徹底的な調査を求めたようで、予定よりも検査が長引きました。そのさなか、8月20日に店舗で入出金ができなくなるという同年5度目のシステム障害が発生してしまいました」

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