名物番組「プロ野球珍プレー好プレー」 近頃元気がないのはなぜなのか

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アドリブでアテレコ

「みのさんのナレーションは本人が考え、しかもビデオテープを一度見た後、台本なしで半ばアドリブで喋っていたそうです。実は、野球にはそれほど詳しくなかったので、状況説明やプレーについての説明は極力廃し、映像を見て感じたことをとりあえず言葉にしていたと聞きます。選手になりきって、アテレコする言葉のチョイスも絶妙で、みのさんの名調子もハマっていました。元々アナウンサーですから喋りのプロであり、実況やレポートもできるのも強みです。さらに、みのさんはお酒を飲んで少し酔った状態で録音したこともあったとか。酔っ払うのではなく、酔うで留めるんだそうですが、飲んで雑談している感じでしょうか、みのさん自身が一番楽しんでいたかもしれません」

 作り手が楽しんで作れば、視聴者にもそれが伝わると言われる。しかも、当時はみのばかりではなく、声優の広川太一郎もナレーションに加わっていた。

「『○○しちゃったりなんかしたりして』など広川節とも呼ばれるアドリブの王様ですからね。香港のコメディ映画『Mr.BOO』はオリジナルのセリフはそれほど面白くなかったそうですが、彼が日本語吹き替えしてテレビで放送されたことでシリーズ人気に火がついたという伝説があります。アテレコのプロである広川さんまでいたら、いくらアンタッチャブルでも敵いません」

 一方、現在のナレーションは……。

デッドボールは不謹慎

「以前はもっとアドリブ感があったのですが、最近はいかにも原稿を読んでいる感じがします。その原稿もスタッフは面白く書くことができないのだと思います。それゆえ、いい加減というかテキトー感が少なくなりました。視聴者の見方も昔とは違ってきているのかもしれません」

 それを象徴しているのが、デッドボールのシーンだ。

「昔はデッドボールも、“痛ってーな!このヤロー”などとみのさんがアテレコして笑いを取っていましたが、最近は視聴者から『一歩間違えたら死んでいたかもしれないのに、不謹慎だ』という声があるそうです」

 デッドボールがダメなら、番組名物だった元広島カープ・達川光男の、かすってもないのにデッドボールを主張するシーンも難しいのだろうか。あるいは、元中日ドラゴンズ・宇野勝のヘディング事件(フライを頭に当ててエラー)だって危険極まりないことに……。

「球場も全天候型のドーム球場が増え、土のグラウンドが減ったので、イレギュラーも少なくなりました。乱闘もなくなりましたし、ガラガラの球場でイチャつくカップルなど、珍プレーと呼べるシーンも激減しています。映像的にも昔のようなパワー、面白さが減っているんです」

 なかなか厳しい世の中だ。

「状況が変わっている中で比較されてしまうのは気の毒です。アンタッチャブルは笑いのプロですが、喋りやアテレコのプロではありませんからね」

「珍プレー好プレー」はいずれなくなるのか。

「フジの日曜夜8時のレギュラー番組の視聴率は5%前後です。編成としては二桁が合格点だったと思いますが、先日の放送はレギュラーよりもよかったのと、昨年の7%台よりも上がっているので、首の皮は繋がった状況です。来年はBIG BOSSこと新庄剛志が日本ハムに監督として帰ってきますから、かつての“ノムさん劇場”に代わる“新庄劇場コーナー”も作られるでしょう。今回よりは盛り上がるかもしれません」

デイリー新潮編集部

2021年12月26日掲載

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