茨城、山梨、和歌山の地震で嫌な予感 専門家が解説する「南海トラフとの関係」

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南海トラフ地震の予兆!?

 山梨県の地震が富士山の火山活動と無関係である理由は、震源地と富士山の距離だという。

「震源地だった大月市は、富士山から約30キロの距離があります。我々専門家にとっては、『地震の規模を考えると遠いので大丈夫』と判断するのに充分な数字です。東日本大震災が起きた2011年3月11日の5日後、15日には静岡県東部地震が発生しました。M6・4、富士宮市で震度6強を観測。震源地は富士山から4キロしか離れていませんでした。地震の速報を聞き『富士山が噴火する』と考えた専門家も少なくなかったのです」(同・長尾教授)

 富士山についてはひとまず安心だとしても、和歌山県の地震と南海トラフ地震の関係については注視が必要だという。

「12月2日に茨城県で発生した地震は、いわゆる“地震の巣”と呼ばれている場所で起きました。実際に地震活動も活発なため、どうしても注目度は低くなります。一方、3日に山梨県で発生した地震も同じ“地震の巣”で起きましたが、近年は観測例が減少していました。再び地震活動が活発になったのか調べる必要があるでしょう」(同・長尾教授)

地震は増加傾向

 専門家の注目度は「茨城<山梨」というわけだが、更に「山梨<和歌山」という不等号も成立するという。

「和歌山の震源地は、あまり地震が起きていない場所なのです。短期的には『南海トラフ地震とは無関係』という判断に科学的根拠があるにしても、数十年単位の話では『あの地震が南海トラフの予兆だった』と評価が変わる可能性は否定できません。また『小さな地震が大きな地震を誘発する』というケースもあります。専門家は今後、和歌山県の地震状況には注視すると思います」

 長尾教授は、今年10月1日から12月4日までの中部・近畿地方の地震発生数を線グラフにしてみると、12月1日から発生頻度が急増していることが分かったという。

「鍋で水が沸騰しているところを思い浮かべてください。隣り合った2つの泡に直接的な関係はないかもしれません。しかし俯瞰して見れば、鍋の加熱で泡ができたという共通点が見えるはずです。8月には小笠原諸島で海底火山が噴火し、大量の軽石が発生し注目されました。噴火の規模は100年に1度というクラスでした。日本における地震活動が活発化している可能性があり、『立て続けに地震が起きるなんて怖い』という不安の声も、科学的に間違っているとは言えないのです」

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