12月のお楽しみ「アドベントカレンダー」 在仏ジャーナリストがトレンドを紹介

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 12月のイベントといえば、クリスマス。プレゼントを贈るのはもはや一般的ですが、ここ数年、クリスマスに向けた“お楽しみ”として、「アドベントカレンダー」が注目されているのをご存じでしょうか。【ヴェイサードゆうこ/在仏ジャーナリスト】

 アドベントカレンダーはドイツで1850年頃に始まったとされる習慣で、子どもたちがクリスマスまでの日数をカウントダウンするためにつくられたカレンダーです(日本でも「もういくつ寝るとお正月♪」という童謡がありますね)。

 12月1日から24日までの24個の中の見えない箱で構成された、箱型が一般的です。その日の日付の箱を開けると、中にはチョコレートなどが入っていて、24日までを開け終わるとその翌日がクリスマス、という仕組みです。

 キリスト教の記念日であるクリスマスなので、当初は聖書の言葉が書かれた紙が入れられるなど、宗教色が強かったようですが、現在では12月になったら毎日チョコレートなどのサプライズを楽しむためのカレンダーになりつつあります。

 さらに最近では、チョコ以外のアイテムが入れられるアドベントカレンダーも増えました。私の暮らすフランスでもCalendarie de l’avent(カレンダリエ ド ラヴォン)として親しまれており、紅茶、コーヒー、クッキー、ジャム、チーズ、缶詰、ワイン、ビール、ウイスキーなどがはいった商品が売られています。また、おもちゃやアクセサリー、クリスマスツリーに飾るオーナメント、下着、成人向けのアダルトグッズなど、フランスらしい(?)あらゆるものがアドベントカレンダーになっています。犬猫などペット向けのカレンダーもありますし、自分で好きなプレゼントを入れられるように中身が空のもの、自分で組み立てるもの、さらに好きな写真を表面に印刷できるものまで、多岐にわたるカレンダーを見つけられます。

 こうした変化は、1998年にドイツの玩具会社ゲオブラ・ブランドシュテッター社が、おもちゃのアドベントカレンダーを発売したころから始まったようです。パリのデパートで試験的に1500個ほど販売されたそのアドベントカレンダーの中身は、ヨーロッパでは馴染み深い「プレイモービル」でした(レゴのような玩具といえばわかるでしょうか)。このカレンダーはあっという間に完売し、これを機に徐々にほかの業界も参入を始めたようです。

 おもちゃのアドベントカレンダーについて調べると、フランスでは2015年に80万個以上、売上高は約1500万ユーロ(約19億円=現在のレート、以下同)だったというデータがありました。それが2017年には120万個、売上高は2100万ユーロ(約27億円)と、市場は拡大しているのです。とくに近年はコロナ禍のため、自宅で家族や恋人とイベントを楽しむという風潮が強まったこともあり、今年もアドベントカレンダーの売り上げは好調なようです。

 それでもやはり、アドベントカレンダーの定番はチョコレート。ビッグデータの分析などを行う企業IRIによると、2017年だけで1160万個のカレンダーが販売され、売上高は6450万ユーロ(約82億円)だそうです。

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