「ワイド!スクランブル」視聴者質問偽装、BPO入りで浮き彫りになったテレビマンの苦悩

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視聴者の質問がつまらない

「慰安婦問題とサンゴ事件は朝日新聞ですけどね。もっとも、『アフタヌーンショー』のやらせリンチ事件はじめ、テレ朝では過去に問題にされたヤラセは多い。けれど、今回の質問偽装がそれらと全く同列に語られるのも……」

 なんだか、歯切れが悪い。

「昔から『視聴者からの質問』を取り上げる情報番組は少なくありません。20年くらい前までは、情報番組に限らずバラエティ番組でも、『質問』『ハガキ』という演出が必要なときは、構成作家やディレクターが質問の文言を考えることがありました。番組を面白くするためにはごく普通のことでした」

 番組を面白くするため、と言われても……。

「実際に視聴者から届いた質問に、面白い内容やちょうどいい尺など、番組が使いたくなるようなものが少なかったからです。文章が変だったり、長すぎたり、インパクトがなかったり、わかりにくかったりと使いづらいものばかりなので、番組が用意したのです。それでも、10年くらい前からは“やはりそれはマズい”という人が増えて、“作り”はなくなりました。ですから、未だにやっている番組があったことには驚き、呆れています。ただ、手を加えることはあります。どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか、悩みどころです」

 今でも手を加えることはあるという。

質問コーナーの変化に注目

「正確に言えば、加工するということです。例えば、100文字のコメントを50文字にするとか、“てにをは”や誤字などは直します。今回の偽装は完全にアウトだと思いますが、演出上どこまで許されるのか、いま一度考えるきっかけになったと思います」

 質問の加工を事前に注意されたことは?

「それはないですね。番組にとって面白い質問、有意義な質問、必要な質問ならば、多少の加工は演出の範囲内というのが正直なところです」

 今回、内部告発から問題が発覚したということだが、

「よっぽど不自然な質問でもなければ、視聴者が気づくことはありませんからね。質問を作ったチーフディレクターに日頃から不満を募らせていたスタッフが上司に訴えたようです。117問が作られたと聞くと確かに多いのですが、残りの8割は視聴者からの質問です。ボツになった質問をヒントに作られたものだってあるかもしれません。例えば、『コロナワクチンの3回目接種は本当に必要なんですか?』という質問が届いたとして、『2回目の接種で副反応に苦しみました。3回目も副反応が出るのが恐いです』と付け加えたら、それも偽装となってしまうのか」

 BPOはどういう判断を下すつもりだろうか。

「昔のテレビは、双方向という機能も、LINEもありませんでしたが、最近は“視聴者参加型”といったテレビの楽しみ方を推す番組が増えているので、視聴者目線を大切にする、視聴者コーナーを設ける情報番組が増えています。今回の問題を契機に、番組から突然質問コーナーがなくなったり、質問の文章が下手になったりするかもしれません。その時は、その番組も『ワイド!スクランブル』と同じようなことをしていたということかもしれませんね」

デイリー新潮編集部

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