辻立ち1600回“打倒安住”を誓って…元タレント・森下千里氏が明かす“敗北の涙とこれから”

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野次の飛ぶ方向へ駆け寄った

 支部長に就任し、正式な候補者となってからも、「元グラビアタレント候補」を冷ややかに見る向きは多かった。本人も「逆の立場ならば、当然だったと思います」と振り返る。そんな周囲の評価を一変させたのが、1600回繰り返したという「辻立ち」だった。

「6月から毎日、秘書と一緒に車に乗って、一日十カ所以上回りました。芸能界にいた経験で度胸には自信があったつもりですが、いざやり始めると、アレ、なかなか勇気がいるものなんですよ。やっぱり不安なんですよね。被災した経験がないのに復興を訴えても、聞いてもらえるんだろうかと考えてしまったり……」

 案の定、聴衆から野次られることも度々。だが、そんな時こそ声が飛ぶ方へと駆け寄り、「ぜひその体験を私に教えてください。その声を私が政治家になって政策として実現させます」と訴えた。

 実質5カ月間の短期決戦。日焼けで鼻は何度もすりむけ、靴も数足潰した。だが、盲目的に辻立ちを繰り返すうちに、少しずつ支援の広がりを実感できるようになったという。

「毎日のように走り回って何十人とご挨拶しているから、こちらは顔を覚えきれていないんですが、『あの時、果物を差し入れたの私よ』みたいな再会も数えきれないくらいありました。辻立ちって、いろんな出会いのドラマがあるんです」

悔しくて涙が止まらなかった

 結果は敗北。比例復活も叶わなかった。だが、安住氏の8万1033票に対し、6万1410票を獲得する健闘を見せた。負けた実感が湧いてきたのは、開票日の翌日。悔しくて涙が止まらなくなった。だからこそ思った。もう一度チャンレンジしたい。翌々日から、辻立ちを再開すると気分も晴れた。今も毎日、街角に立って地元の人たちに挨拶するのを日課にしている。地元支部・県連もそんな森下の姿を見て、支部長再任を早々に決定。現在、党本部に上申中である。

 板についてきたという辻立ちを見せてもらった。

「森下千里です。選挙中は、みなさんからたくさんの応援をいただきました。これからもここ石巻で頑張って参ります!」

 事務所近くの交差点で森下氏が声を張り上げると、車中から手を振って返す有権者が多く見受けられた。森下氏も満面の笑みで手を振って返す。

「もっと地元の人の声を聞いて勉強していきたい。そして、今度こそ勝てるように頑張りたいです」

 最長で4年後になる次なるチャンス。夢が成就する日は訪れるのか。

デイリー新潮編集部

2021年11月21日掲載

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