侍ジャパン監督 栗山英樹氏が最有力候補に違和感 大谷翔平を招集という甘い考え

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 稲葉篤紀監督が9月末で退任し空席になっている侍ジャパン(野球日本代表)の監督候補として「前日本ハム監督の栗山英樹氏が最有力候補」「栗山氏で一本化された」との報道に接して、ビックリしている。

「えっ? 栗山監督でいいの?」

 これが正直な感想である。

 栗山氏は2011年オフ、日本ハム監督に就任。メディアでは人気があったが、コーチ経験がなく、現役時代の成績も494試合出場、通算336安打、7本塁打とそれほど傑出したものでないことなどから指導力を疑問視する声もある中、一年目にリーグ制覇を果たし、北海道のファンから厚い信頼を得た。

 従来の支配的、高圧的な指導者像でなく、やわらかな物腰、選手とのフェアな関係を大切にする対話型の監督像を実現した意味で革新的でもあった。いわばプロデューサー的な役割を果たす、新しい時代の監督の姿を体現もした。

 5年目の2016年には再びリーグ優勝、日本シリーズで広島を破り日本一にも輝いた。以後10年に亘って監督を務めた。この間、大谷翔平選手の二刀流を支援し、今季メジャー・リーグでの大ブレークにつなげた殊勲者としての功績もある。

 だが、後半5年間は3位が1度で、4年間は5位に沈んでいる。「ハンカチ王子・斎藤佑樹をついに活躍させることができなかった」「中田翔の暴走を止められなかった」「ゴールデン・ルーキー清宮幸太郎の伸び悩みを改善できない」など、ここ数年は課題の方が多かった。そうした低迷、膠着状態を打破できず、監督を退いたわけだから、決して「上り調子」というわけではない。その栗山監督に、立場的には「上」と言っていいはずの「日本代表監督」を要請するのは、ごく普通に考えて違和感がある。

大谷を呼べる?

 いや、日本代表監督はNPB各球団の監督より「上」という認識もないのが、いまの野球界なのかもしれない。

「栗山監督なら、大谷翔平を日本代表に呼べる」という希望的観測も決め手(?)になってか、いまのところ就任反対の声も聞こえて来ない。一部、「少し休ませてあげたい」というファンの声はあるが、「反対」を叫ぶ人たちはあまりいないようだ。

 野球関係者はもとより野球ファンは、本当に「鈍い」というか「古い」というか、楽観的な新聞辞令にまだ従順なのかと呆れてしまう。

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