日本はデフレが続き「安売り状態」 外資が超高級ホテルを建設も“日本人と犬は泊まれない”

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ようやく『悪い円安』と

 円安といえば、これまで、日本経済にとってはプラスだと言われ続けてきた。実際、2012年末に始まったアベノミクスでは、「3本の矢」の1本目として大胆な金融緩和が打ち出され、それまでの円高が一気に修正された。確かに企業収益は改善したように見えるが、私たち庶民は豊かになった実感はない。なぜだろうか。さる大学教授が語る。

「最近になって、円相場が値下がりしてきたことを、ようやく『悪い円安』などと大手新聞が書くようになりましたが、もともと『良い円安』なんてあったのか、と疑問です。自国通貨が弱くなって喜ぶ国というのも珍しいですから。しかも、日本はGDP(国内総生産)の6割を個人消費が占めていて、輸入依存度は高くありません。通貨が弱くなれば、購買力が落ちるわけですから、豊かになどなれません。もともと円安がプラスというのは幻想だったのではないでしょうか」

日本人は貧しくなった

 さらに続ける。

「為替レートだけを見ていると見誤ります。ドル円相場で見ると、この2012年末以降、1ドル100円から120円の間で推移して、あまり変わっていない印象を受けますが、その間、米国も世界も成長して物価が大きく上昇している。一方の日本はデフレ傾向が続いていて給与も増えていません。同じ1ドルでも、その価値がどんどん下がっているので、その分、日本人が気付かないうちに日本の購買力は落ちた、つまり貧しくなったと言えるのではないでしょうか」

 実際、このところの輸入物価の上昇は凄まじい。大手新聞社の経済部デスクが解説する。

「大豆の高騰で植物油やマヨネーズの値上げが話題になりましたが、その後は『ウッドショック』と言われる木材価格の高騰、品不足があり、そして原油価格の上昇が起きています。これはポストコロナに経済が回復することを睨んだ投機的な動きが一因ですが、実際に米国などの景気が急回復して需要が増えていることもあります。ドル建てで取引される原油などの価格が上昇しているのに加えて、円安になっているため、輸入物価は上がるばかりで日本国内の価格上昇はさらに大きくなっています。まさにダブルパンチです」

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