映画館やデパ地下では片頭痛が悪化…予防策は? 症状を緩和する注射薬とは

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 猛烈な痛みに加え、めまいや吐き気に襲われ、満足に眠ることすらできない。しかも、苦しみを周囲に理解してもらえず孤独と絶望感に苛(さいな)まれる。日本人の3人に1人が苦悩する「頭痛」という難敵。では、具体的にどのような対処法があるのだろうか。

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 最初に紹介したいのは、緊張型頭痛に効果的な「頭痛体操」(掲載のイラスト参照)。原因となる首や肩のこりは頸部から背中に広がる肩僧帽筋の収縮によって生じる。そこで、日本頭痛学会顧問で、埼玉国際頭痛センターの坂井文彦センター長は、

「肩僧帽筋のストレッチをお勧めします。足を肩幅に開いて立ち、両ひじを90度に曲げ、肩を中心に前から後ろへ“上着を脱ぐ”感じで腕を大きく5回まわします。前まわし5回と、後ろまわし5回を2セット。日常的に続ければ予防効果も見込めます。ただし、肩はまわしても、首をまわすことは厳禁です。そもそも首への負荷が原因なので、頭痛が悪化しかねません」

 他方、群発頭痛にはトリプタン製剤という薬が効果的だという。セロトニンの代わりに三叉神経に働きかけ、興奮を抑えて“CGRP”という血管拡張物質の放出を防ぐ働きをする。

「また、副腎皮質ホルモンを服用すれば発作を予防できることも分かってきた。もう一点、群発頭痛が生じやすいタイミングでお酒を飲むと必ずといってよいほど発作が起きるので、控えた方がいいですね」(同)

 問題は、片頭痛への対処である。実は、片頭痛には多種多様な“誘発因子”が存在する。東京女子医科大学脳神経外科の清水俊彦客員教授は代表的な誘発因子として「光」、「音」、「におい」を挙げる。

「たとえば、デパートの1階と地下1階で頭痛に襲われる人も少なくありません。というのも、1階には化粧品や香水の売り場があるため、強烈な“におい”が入り混じって充満しています。デパ地下には食料品店が並び、においだけでなく、半密室空間に店員やお客さんの声が反響している。しかも、商品の見映えを良くする目的で強い照明を用いていることも多い。つまり、こうした場所にはさまざまな頭痛の誘発因子が集まっているわけです。また、映画館は常に大きな音と激しい光に晒されます」

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