韓国・若者の「不買」離れ ユニクロのコラボ製品バカ売れ「なぜボイコットしてたんだっけ?」「寒くなってきたからユニクロに行かないと」の声

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ホワイトマウンテニアリングとのコラボ

 今月15日、日本の高級ブランド「ホワイトマウンテニアリング」とタッグを組んだパーカーがユニクロから発売された。ホワイトマウンテニアリングは通常、冬物ダウンパーカを300万ウォン(約29万円)ほどで販売しているが、ユニクロとのコラボ商品は12万9000~14万9000ウォン(約1万2000~1万4000円)で購入することが可能だ。

 発売前から「ユニクロ、ホワイトマウンテニアリングとコラボするなんて凄い!」「ホワイトマウンテニアリングは日本ブランドだったんだ。前に弘大(ホンデ)の店舗に入ったことがあるけど、かっこよかった(同ブランドの独立店が韓国内にないことから、恐らくさる輸入製品を扱う店舗で見かけたものと思われる)」「ホワイトマウンテニアリングは軽くて着るのに便利だから、発売されたら買おうか悩む…」と、話題となっていた。

 同様のことは過去にもあった。不買真っ只中の2019年11月と20年11月にはジル・サンダーとコラボレーションした「プラスJ」を販売、一部店舗前にはオープン前から行列ができ、品切れが続出する騒動となった。今回の勢いもそれを思い出させるのに十分で、ユニクロは1人当たりの購入数を2点に制限したが、それでもオンラインモールでは販売開始2時間で品切れとなった。24日付けで閉店する蚕室店には100人余りの人が列に並んでいたという。

 争奪戦を勝ち抜いた購入者の中には、さっそく「コラボ製品が買えた」「本当に良い服だ」とSNSで投稿している人もいた。

韓国人の求めるコスパ意識に

 日本語の「コスパ」を韓国語では「カソンビ(価格/カギョクの“カ”、性能/ソンヌンの“ソン”、対比/デビの“ビ”」という。韓国人はこの単語が好きで日常的によく使用する。今回のホワイトマウンテニアリングとのコラボ商品は、韓国人の求める“カソンビ最高”の製品であり、それが入手できるのであれば不買運動など、無関心になるのだろう。

 ユニクロ製品を購入した人々を批判する声はもちろん多いが、最近では若い世代の中で「朝からユニクロに行ってズボンを買ってきた」「寒くなってきたから冬服を買いにユニクロに行かないと」「なぜユニクロをボイコットしてたんだっけ?」といった声をSNSで発する人が増えてきたことも確かだ。

 そもそもソウルの冬にヒートテックは欠かせないし、“カソンビ最高”のユニクロ製品を日常的に求める若者が再び登場したことにより、日本に対する韓国の風当たりが少しずつではあるが変化しているようだ。

 言うまでもないが、不買運動を現在まで実質的に導いてきたのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に他ならない。

「韓国ギャラップ」が発表した世論調査(12~14日)によれば、20代の文大統領支持率は25%(30代:42%、40代:48%、50代:37%、60代以上:31%)で、20代の「アンチ文」が突出している。もちろん、これだけで20代が「文嫌い」だと結論づけるのは早計だが、文大統領の政策はことごとく失敗してきたと評価されており、その被害を最も被ったのが20代であることは論を俟(ま)たない。不買という看板政策への異議申し立ては、新大統領に新しい空気を送り込んで欲しいという切なる願いが込められているようにも映る。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月19日掲載

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