慰安婦合意をまとめた岸田新首相に期待する韓国 歴代大統領の裏切りと約束破りの歴史を振り返る

国際 韓国・北朝鮮

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度重なる天皇陛下への謝罪要求

 続く第5~9代の朴正煕(パク・チョンヒ)は、1965年に「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」(日韓基本条約)に署名した大統領だ。両国間の問題は本来ならこの条約をもって全て解決したはずなのだが、その後の政権にこれを履行させることはできなかった。

 第11~12代大統領を務めた全斗煥(チョン・ドゥファン)は韓国の歴代大統領として初めて「現在の韓国を含む朝鮮半島が日本の領土となったことは、当時の大韓帝国にも責任があった」と認めた。しかし、その一方で彼は、1984年の訪日時に昭和天皇に謝罪を要求した大統領でもある。全斗煥以降、大統領が交代するごとに日本に対し謝罪要求を行うことがほとんど常態化した。

 第13代大統領の盧泰愚(ノ・テウ)の場合はさらに踏み込んで、「全斗煥訪日時よりもさらに具体的で真摯な内容になるように」と訴え、天皇陛下(現在の上皇さま)は「貴国の人々が味わわれた苦しみを思い、痛惜の念を禁じえない」との「おことば」を述べられている。

 他方、それまでと違って第14代の金泳三(キム・ヨンサム)は、「慰安婦問題で日本に補償を要求しない」と述べ、韓国政府が被害者に500万ウォンの一時金と生活補助金、医療支援、永久賃貸住宅などの支援を実施した。第15代の金大中(キム・デジュン)大統領も先代に続き、「今後、韓国政府はこれ以上、過去の歴史問題を提起することは無い」と言及。この金大中政権時の日韓関係が戦後最も良好であったと言えるだろう。

「日本を仮想敵国に規定しないか」

 しかし、第16代の廬武鉉(ノ・ムヒョン)はアメリカ側に「日本を仮想敵国に規定しないか」ともちかけていたことが報じられたことがある。さらに、靖国神社参拝を問題視し、日本に植民地支配への明確な謝罪と反省、賠償を要求するなど、強硬な反日姿勢を繰り広げた。

 第17代の李明博(イ・ミョンバク)は韓国の大統領で初めて竹島に上陸を果たした。2011年、彼は「歴代の韓国大統領たちは任期後半に支持率を上げようとして反日を利用したが、私はそうしない」と述べていたにもかかわらず、その僅か1年後に、あろうことか自身の支持率回復のために反日勢力におもねって竹島上陸を敢行したのだ。ついでながら、同年に長崎県対馬市の神社や寺院から韓国の窃盗団が盗んだ仏像も未だに返還されていない。

 その後の大統領については先に触れた通り。さて、当然こうした経緯を熟知しているはずの岸田新首相はどう動くか。あるいは動かないか。

「ただでさえ韓国には裏切られたという思いがあるうえに、コロナ対策あり、韓国も大統領選ありと課題や不確定要素が多い。岸田首相としては“韓国に積極的に与(くみ)する時期ではない”というスタンスではないでしょうかね。韓国に強硬な姿勢を崩さない安倍氏の言うことをある程度、尊重しているようですから岸田首相の方からアプローチすることはないでしょう」(日本の政治部デスク)

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月7日掲載

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