韓国で「鬼滅の刃」コンサート活況&続編公開決定 「反日不買下の日本コンテンツ推し」という奇妙な状況

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旭日旗への言いがかりの連続

 ここで旭日旗問題についてざっとおさらいしておこう。近年、韓国側が旭日旗に異議申し立てをする回数や度合いはエスカレートしてきた。

 ざっと挙げておくと、2017年に発売されたバーガーキングの「ズワイガニバーガーの包装紙」、2018年の反日教授の徐坰徳(ソ・ギョンドク)誠信女子大教授が指摘した「日本航空の機内食用容器のふた」、2019年に撮影された韓進グループの趙源泰(チョ・ウォンテ)会長のバックに写った「飛行機のジェットエンジン部」……。いずれも写真で確認いただけるように、言いがかりに近いか言いがかりそのものだ。

 また、7月の東京五輪の開会式では、「選手らの配置が旭日旗の放射線状だった」とクレームが入ったし、スポーツクライミングのボルダリング競技決勝で使用されたホールド(構造物)が旭日旗を模しているなどという指摘もあった。

 そういった旭日旗アレルギーをよそに、韓国の鬼滅ファンは、映画公開およびコンサート開催を非常に喜んでいる。SNSでは「見に行く人はいますか?」と呼びかけたり、「すごく楽しみだ」と投稿をあげたりしている人が少なくない。また、鬼滅グッズの転売投稿も変わらず盛んだ。

「この時期に日本のアニメを紹介するなんて」

 インターネットの掲示板には「日本は嫌いだけど、日本の文化を楽しむヘル朝鮮(様々な格差が拡大した韓国社会の生きづらさを表現したスラング)」「アニメは好きじゃなかったけど、友達に誘われて仕方なしに見ていたら本当に面白かった。次の映画も見たい」という意見がある一方で、「この時期にチョッパリ(日本人に対する差別用語)のアニメを紹介するなんて…」と否定的な意見もあり、両者は拮抗しているように映る。

 かねて韓国では日本のアニメ人気はすこぶる高く、「日本のアニメに育った・育てられた」という世代はどんどん拡大している。鬼滅はその中でも超・横綱級のコンテンツである。それだけに、少なくとも韓国内だけでも旭日旗問題が修正されたのは、「NO JAPAN」「ボイコットジャパン」陣営にとっては溜飲が下がる出来事だったのは間違いない。

 このような反日勢力に遠慮して、大っぴらに鬼滅を楽しむことができなかった隠れファンたちが、強い鬼滅愛ゆえに“地下”から浮上してきてしまった。その結果、「反日不買下の日本コンテンツ推し」という奇妙でいびつな状況が生まれたということかもしれない。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月21日掲載

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