“宅飲み写真”流出の弘中アナを待ち受ける正念場 「勘違い女子アナ」か「被害者」か

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 コロナ禍は人間のいろいろな面をあらわにしてしまった。中でも女子アナたちには受難の年だったのではないだろうか。ステマ疑惑のフジテレビアナたちに続き、複数人での飲み会が明らかになったテレビ朝日・弘中綾香アナ。特に弘中アナは、女子アナらしからぬ放言っぷりで人気を得ていた。タレント気取りの勘違いアナはこれだからと、ここぞとばかりに叩かれている。

 弘中アナといえば、オリコン主催の「好きなアナウンサーランキング」では2年連続首位。若い時から局の顔として重宝され、カレンダーや写真集も大人気だ。先日は千鳥のノブさんとの冠番組「ノブナカなんなん?」が、ゴールデンに進出すると発表されたばかり。その矢先に慶應大学時代の同窓生との宅飲み写真が流出した。同席していたのは日テレの男性社員ら、女性も含めて4人だったとされている。男性宅で借りたような無骨なTシャツ・短パン姿も、弘中アナのあざと可愛さを引き立てていた。

 そもそも写真は鍵付きのSNSアカウントで公開されていたという。それなのに、流出させられるなんてかわいそう。少人数の宅飲みなら別にいいのでは。さまざまに擁護の声も上がってはいるものの、投稿されたのは緊急事態宣言下という時期だった。芸能界でも感染者が増える中で、タレントと共演の多い弘中アナの危機管理意識の低さは否めない。

 以前には「やりたい仕事とかも今はない」「女性アナは30歳がひと区切り、悩みのど真ん中」と揺れる気持ちを語っていた。かといっていまの状況では、フリーにはなりづらいのではないだろうか。以前から「つまらない大人になりたくない」「夢は革命家」と公言し、毒舌を売りにしていた彼女にとって、ずいぶん俗っぽい印象がついてしまったからである。

 弘中アナの毒舌が許されるのは、彼女の発言や視点というより、見た目に負うところが大きい。童顔で甲高い声というアイドル的な雰囲気ながら、歯に衣着せぬ物言いのギャップが面白がられていたのだ。テレ朝上層部もそのニーズを認め、彼女を暴れさせてきたのだろう。

 しかし毒舌と権力は相性が悪い。会社や有名人に媚びないという覚悟が見えてこそ、相手や世間に物申す姿勢は受け入れられる。オードリーの若林さんを「やーい人見知りがしゃべってやんの」とからかったり、芸能人にも容赦なかった弘中アナ。しかし強力なバックが透けて見えた時点で、ただの「無礼者」「虎の威を借りる狐」なのではないか。今回の報道について弘中アナは沈黙を守り、テレ朝も「本人に注意した」と発表するにとどめている。ちなみに同じく飲酒報道が出たアナといえばフリーの鷲見玲奈アナがいるが、報道後にすぐにインスタで謝罪をした。会社員とフリーランスの立場の違いといってはそれまでだが、革命家を目指すわりにずいぶんおとなしい対応だ。ほとぼりが冷めるまでは会社に守ってもらう、そんな計算に見えてしまう。

「女子アナ」のイメージに一番縛られている弘中アナ 毒舌路線の賞味期限は

 ラジオでは、「女子アナのくせに」とか「女なのに」など、一般化したイメージを押し付けられたくないと熱弁していた弘中アナ。たしかにタレントいじりや、好き嫌いをはっきり顔や口に出す態度は、女子アナには珍しい。それは弘中アナが、一般的な「女子アナ」イメージを逆手にとって得をしてきたということでもある。逆張りのように毒を吐き、ニュースは読まず、本が書きたいラジオに出たいと自己主張をする。今までは上手くいった彼女だが、今回ばかりは「女子アナなのに危機管理意識が低い」という批判に反論はできないだろう。「たくさんの人と接する人気者なのだから、リスクを自覚してね」と言い換えることができるからだ。

 男性の添え物的な女子アナ、空気を読んで発言する女子アナという、なりたくない女性像は冷静に分析できる。幼い雰囲気と勝気さのギャップを売りにするのも、そろそろ賞味期限が切れることもわかっている。でも革命家志望を掲げても、いったいどこで何をすればいいのかわからない。会社の名前が入った刀を、毒舌と称して振り回し続ける弘中アナに、そんな迷いも見え隠れする。

 毒舌タレントブームは落ち着いたが、一方でひろゆきさんやキングコングの西野さんのように、言い切り形で世相を斬るタイプの論客たちは相変わらず重宝がられる時代だ。ちなみに慶應OBには、DaiGoさんという先輩もいる。どうせ慶應関係者と飲むなら、彼と飲んだ方が身の処し方の参考になったかもしれない。いずれにせよ弘中アナが自覚しているように、「あざとくて何が悪いの?」と開き直り続けられる時間は、そう長くないのだろう。

冨士海ネコ

2021年9月9日掲載

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