短パンの石川遼 カラフルファッション、マッチョ化…賛否両論も本人は「変わっていくのがいい」

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タイガー・ウッズの後押しで

 先週の国内男子ツアー、KBCオーガスタの開幕前に行われたプロアマ戦で、短パン着用が初めて認められたことを報じる大半の記事の中心に、石川遼がいた。

 とはいえ、石川自身の発案というわけではなく、先進的な考えの持ち主である同大会側による試みだそうだが、言い出しっぺが誰であれ、いいと思えば即採用し、即実行するあたりは、いかにも石川らしいなと感心させられた。石川は「体感温度も足の疲れも違うので、本当にありがたいです」と話し、大会主催者に感謝していたという。

 男子プロゴルフ界における「短パン問題」に動きが出たのは、ここ数年のことだ。昔ながらのドレスコードを重んじるゴルフの世界では、米男子ツアーだけは1999年からキャディのみ「試合中でも短パンOK」になったものの、「プレーする選手は長いパンツ」が世界の常識とされてきた。

 しかし、地球温暖化による世界的な異常気象から選手たちの健康を守るために、欧州ツアーでは2016年に練習日の短パンがOKとなり、メジャー大会の1つである全米プロでも2017年から練習日の短パンOKが発表され、大きな話題になった。

 そんな変化の流れを受けて、米ツアーでも2019年2月から練習日とプロアマ戦での選手の短パン着用が解禁となり、発表直後のメキシコ選手権の練習日には、メジャー4勝の実績を誇るローリー・マキロイらが、ちょっぴり照れながら短パン姿で登場した。

 こうして欧米ゴルフ界が「短パンNG」から「短パンOK」へと変化していった背景には、間違いなくタイガー・ウッズの後押しがあった。2018年終盤に「短パン着用は、いいと思う」とウッズが米メディアに語ったからこそ、米ツアーは翌年から短パン着用を認めたのだ。

 そういうウッズの他選手に先がけて一早く語るタイミングや発言力を、情報収集に長けた石川が知らないはずはない。尊敬するウッズの影響力を米ツアーで間近に眺めてきたからこそ、石川自身が「日本のウッズ」のごとく、日本史上初の「プロアマ戦、短パン解禁」に一早くリアクションを見せ、「賛否両論あっていい。変わっていくことは不自然なことではない」と語ったのだ。

「リオ?」「ロー?」

 最近の石川には、髪やヒゲを伸ばしたり、肉体をマッチョ化させたりで、その風貌に賛否両論が寄せられている。しかし、世間やメディアの賛否を気に病むことなく、「いい」と思ったら信じて突き進むところが彼らしい。

 高校1年生で日本ツアー初優勝を挙げ、国民的スターになった石川が、2009年に初めて米ツアーに挑んだときのこと。超満員の会見場の壇上に現れると、事前に覚えてきた英語で「ハロー、アメリカ!」と挨拶。笑顔を輝かせて100名超の日米メディアを驚かせた。

 欧米人は「Ryo(リョウ)」と発音するのが苦手で、どうしても「リオ」や「ロー」になりがちだ。石川のデビュー以来、米ツアー会場では「リョウ」の発音にトライしては「リオ?」「ロー?」と言い続けるシーンが、あちらこちらで見受けられ、ちょっとした流行のようになっていた。石川が魅力的だったからこそ、彼らにそこまでさせたのだろう。当時の石川は、こう語っていた。

「僕はドライバーで構築するゴルフをしたいんです」

 どんな状況でもドライバーを握る石川が、思い切りよく打ち出すショットを目にした米ツアー選手やキャディたちは「月より高い球で、ただただ果敢に挑む」と、みな目を丸くした。そこに「無茶」「無謀」を揶揄する皮肉が込められていたことは、傍から見れば明らかだった。だが、石川はそんなことにはお構いなしで、ドライバーを振り続けた。

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