【自民党総裁選】「菅さんも岸田さんもダメ。でも岸田さんの方がマシ」と中堅代議士が言う理由

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救世主はいずこ?

 自民党の岸田文雄・前政調会長(64)は8月26日、党総裁選に出馬する意向を明らかにした。総裁選は9月17日に告示され、29日に投開票が行われる予定だ。

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 自民党の中堅代議士が、本音を打ち明ける。

「下村博文・政調会長(67)や高市早苗・前総務相(60)が出馬する可能性は残っています。とはいえ実質的に、菅義偉首相(72)と岸田さんの一騎打ちになると見られています。そして、安倍晋三・前首相(66)、麻生太郎・副総理兼財務相(80)、二階俊博・幹事長(82)の3人が菅首相を支持する限り、結果は明らかでしょう」

 現在、自民党の国会議員は、衆参合わせて計383人。これを派閥別に見るとどうなるか、政治担当記者が解説する。

「岸田派は46人。これに対し、菅首相を支持する派閥は、安倍前首相が所属する細田派が96人、麻生派は53人、二階派は47人です。合計すると196人。この時点で383人の過半数193人を上回ります。加えて石原派10人のトップである石原伸晃・元幹事長(64)や、石破派17人の石破茂・元幹事長(64)も、菅首相支持を表明しました。菅さんを支持する国会議員票は盤石と言っていい情勢です」

 自民党の選挙管理委員会は26日、国会議員1人1票の「国会議員票」と全国の党員・党友による投票で配分が決まる「党員票」を、同数で争う選挙と決めた。もし“地方の反乱”が起きれば、岸田氏にも勝機がある。

“ご祝儀相場”への期待

「岸田さんには国会議員票より党員票が集まるのかもしれませんが、“反・菅”の受け皿になれるかは未知数です。派閥から地方の党員に『菅さんに投票しなさい』と指示が出ます。そう簡単には逆らえないでしょう」(同・記者)

 菅首相の再選は、可能性大──こうした下馬評を大前提として、前出の代議士は、「本音を言わせてもらえば、岸田さんの方が遙かにマシです」と漏らす。

「岸田さんは人気がない、大して知名度もない。とはいえ、菅さんよりはマシでしょう。岸田さんが党総裁となり首相に就任すれば、“ご祝儀相場”が期待できます。新しい首相は有権者に期待されるはずです。支持率が急落している菅首相がいなくなったということで、自民党の“自浄作用”が評価されるかもしれません。総選挙を考えれば、岸田さんの方がいいと思います」

 代議士が胸中を吐露するのは、自民党が行った世論調査「選挙情勢調査」の最新結果が明らかになり、かなりの逆風が見えてきたからだ。

「調査の結果、来る衆議院選挙で自民党は、40議席から70議席を失うという結果が出ました。8月26日、日刊ゲンダイと夕刊フジは、共に自民党大敗の可能性を大きく報じました。自民党に対する批判の激しさを物語っています」(前出の記者)

自民党70議席減!?

 自民党は現在、衆院で276議席を獲得。これは各委員会で委員の過半数を確保できる「絶対安定多数」の261議席を上回っている。

「おまけに連立を組む公明党が29議席を持っています。合計すると305議席となり、衆院定数の3分の2となる『圧倒的多数』の310議席にあと一歩という数字になります」(同・記者)

 自民党が行った予測のうち、まず最も議席減が少ない「40議席」からシミュレーションしてみよう。

「276議席から40議席を引くと、236議席になります。衆議院の過半数は233議席ですから、それは辛うじて維持できます。また、公明党の29議席を足すと265議席で、一党だけの数字ではないので注意が必要ですが、両党で『絶対安定多数』の261議席を超えます」(同・記者)

 マイナス40議席なら、許容範囲内というわけだ。では最悪の70議席減となれば、どんな結果になるのだろうか。

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