このままだと単独過半数割れに 自民党総裁選で「岸田文雄」が勝ちそうなシナリオとは?

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疑似的な政権交代の歴史

 とはいえ、党内第4派閥・二階派はいち早く菅支持を打ち出し、第3派閥・竹下派、第2派閥・麻生派、そして最大派閥の細田派も現在は菅支持と見られており、数のうえでは岸田氏に勝ち目はなさそうに見える。

「そうですね。岸田さんがボスの岸田派は第5派閥(46人)ですから、実質的に細田派のオーナーである安倍さんと麻生さんをどう口説けるかという点は大事です。そもそも、去年の総裁選前までこの2人は岸田さんを推していたわけですから脈がないわけではない。それよりも、国会議員票と同数与えられる全国の党員票をどれくらい取り込めるのかということの方が重要かもしれません。“菅さんより岸田さんの方がマシ”だという勢力の支持を取り付けられれば、その声に敏感な派閥のボスたちも菅支持から方向性を変えざるを得ないでしょうから」

 改めてデスクAに聞くと、

「かつての自民党は派閥がしのぎを削り、40日抗争に代表されるように党内での主導権争いを繰り返してきました。いわば疑似的な政権交代が結果として活力の源となり、政権を維持することができていた。現在、国民の間には、『菅さんはどうしてもイヤだけど野党に政権は担当してもらいたくない』という声は結構根強いように見えます。となると、総裁選でトップを変えて解散総選挙に臨み、国民の審判を仰ぐというのが自然な流れのような気がしてもいます」

 目下、派閥のボスの支持だけなら菅総裁の圧勝という状況に変わりはない。しかし、そもそも政策や主義主張ではなく、それぞれの損得、好みで「推し」を決めているところもあるため、事態は流動的である。「菅さんも野党も嫌」という声を強い追い風に出来れば、岸田氏の逆転もありえるということか。総裁選まで約1ヵ月、コトはそう単純には進まなさそうな気配がある。

デイリー新潮取材班

2021年8月27日掲載

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