聖火点灯ランナー「大坂なおみ」に決まる前の最有力候補は

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「佐々木さんが仕切っている頃までは」

 この記者が続ける。

「大坂選手で最初から決まりだったかというとそうではないと思います。もともとは水泳の池江璃花子選手を最有力候補としていたと聞きました」

 池江選手は2019年2月に白血病を公表してから闘病生活に入り、一時は体重が15キロも減ったことがあったというが、それを克服し、五輪の4×100メートルフリーリレーへの出場権を獲得した。

「関連する行事やイベントにも登場し、東京五輪の顔と言えば池江選手という感覚が国民の間にも醸成されつつあったと思います。東京の次のパリに出られればと言われていた中で、脅威の回復力を見せた彼女は、震災からの復興、コロナ禍の克服をアピールする場にふさわしいとも言われていました」

 そのプランが変更され、池江選手から大坂選手にシフトしたのはどうしてなのか?

「体制の変更が大きかったと指摘する声がありますね。去年12月、それまで開閉会式演出の総合統括を担っていた狂言師の野村萬斎さんが率いるチームが解散しました。コロナで1年延期が決まり、予算を大幅に削減する必要性があったことが強調されましたが、チーム内でのコミュニケーションがギクシャクしたり、パワハラがあったりと風通しがよくなかったようです」

 野村氏の後を受け継いだのが、当初はパラリンピックを担当していた電通出身のクリエイティブ・ディレクターの佐々木宏氏だ。しかしその後、佐々木氏が開会式に出演予定だったタレントの容姿を侮辱していたことが報じられ、辞任することになった。

「佐々木さんが仕切っている頃までは“池江さんで”という話になっていたようです。担当が変われば内容も変わるのは世の常ですが、それよりも、開閉会式にかけられる予算が5分の1ほどになる中で、大会の基本コンセプトの内容を丁寧に伝えられるプログラムの遂行が難しくなったということが大きいのではないかと見ています。ならば、聖火点灯ランナーに大会のコンセプトど真ん中の選手を起用したいと考えたとしても不思議ではないですよね」

 開幕前のドタバタが、ここにも影響を与えていたということになる。

デイリー新潮取材班

2021年7月26日掲載

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