【おかえりモネ】東京編でキーパーソン演じる「今田美桜」に“新CM女王”という期待

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観光ポスターをきっかけにスカウト

 話題の映画が公開中で朝ドラが放送されている今、SNSに目を落とすと、「今田美桜ちゃん、かわいい」という言葉が数珠つなぎのように並ぶ。

 それも不思議ではない。メジャーデビューした際のキャッチフレーズが「福岡で一番かわいい女の子」だったのだ。今田が19歳、2016年のことだった。「かわいい」は今田の武器なのである。

 地元の福岡市内で芸能活動を始めたのは県立高校2年生だった2014年の時。市内のモデル事務所にスカウトされ、まず観光客向けのPRビデオや同ポスターに登場する。高3時には地元テレビ番組にレギュラー出演するように。卒業後も地元に留まった。

「東京に行きたい気持ちもあったんですが、行ってどうしたらいいのかもさっぱり分からなくて、ちょくちょく東京でオーディション受けに行ったりしていて、落ちて帰ってきたり、受かってお仕事して帰ってきたりとか。そういうことをしていて『これでいいのか』というのはずっとありました」(※2)

 そんな時、今田が登場していた観光ポスターをたまたま目にしたのが、現在の所属事務所スタッフ。すぐにスカウトされ、上京することになった。2016年、19歳の時だ。

 それから約5年。大きな特徴はCMの多さだ。かわいらしさと清潔感がスポンサーにとって魅力的らしい。第一生命保険、P&G、みずほ銀行、楽天モバイル、リクルート、AOKI、コーセー、第一三共ヘルスケア、集英社、CJ FOODS JAPANの10社と契約中だ。

 この数は「2021年上半期タレントCM起用社数ランキング」(ニホンモニター)で3位。これまでスキャンダルと無縁だったこともスポンサーが好感を抱く大きな要因だろう。

 キャリアはそう長くないが、実は演技力も早くから認められていた。LGBTの親友を好奇の目から守り抜こうとする女子高生に扮した初主演映画「カランコエの花」(2018年)で高い評価を受けた。

 この映画は「京都国際映画祭2017/クリエイターズ・ファクトリー」でグランプリに輝くなど映画祭で10冠を獲得。今田は未成熟な女子高生の複雑な心象風景を表情で表しきった。

 昨夏に放送された「半沢直樹」(TBS)で、東京セントラル証券のOL・浜村瞳役を好演したのはご記憶のはず。瞳は入社2年目の溌剌としたOL。半沢直樹(堺雅人、47)にとって頼りになる部下だった。このドラマは一部で「職場での女性の活躍場面が少ない」と批判されたが、その中で確かな存在感を示した。

CMと主演ドラマの関係

 ドラマの主演作はまだない。だが、時間の問題だろう。CMが多いことが大きい。民放がCMを獲得しにくくなっている今、ドラマに主演するにはCMに多く起用されているほうが圧倒的に有利だからだ。企業がドラマのスポンサーになってくれる。

 スポンサーとしてもドラマの合間に主演俳優や女優のCMを流せたら、宣伝効果がより期待できる。例えば今田の主演ドラマが実現し、10社のうち1社がスポンサーになったら、今田の顔がCMでも映されるわけだ。

 現在、放送中の「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の場合もそう。放送延長の部分を、主演の鈴木亮平(38)をCM起用しているKIRINなどがスポンサーになっている。

 また朝ドラの助演から主演の座を掴む役者が多いのは知られている通り。「おかえりモネ」のヒロイン清原も2015年度後期の「あさが来た」と2019年度前期の朝ドラ「なつぞら」で助演している。

 一方、「東京リベンジャーズ」を制作したのはフジテレビ。大ヒットした暁の今田へのご褒美は主演ドラマではないか。

※1 NHK公式ホームページ
※2 スポーツ報知2000年5月8日付

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月23日掲載

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