トヨタ「豊田章男社長」の役員報酬は4億4200万円 外国人役員より10億円も安いワケ

ビジネス 企業・業界 2021年6月30日掲載

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 2020年の世界販売台数で、トヨタ自動車が5年ぶりに首位となった。まさに世界で活躍する日本企業だが、トップである豊田章男社長(65)の役員報酬は、4億4200万円だという。日本の経営者の報酬は、なぜこんなに安いのか。

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 豊田社長の報酬は、2021年3月期の有価証券報告書で明らかになった。これに“安すぎる”との声が上がったわけだが、思えば18年12月には、トヨタのメディア『トヨタイムズ』の企画に登場したイチローが、豊田社長に「給料、安くないですか?30億円くらいもらってくださいよ」と言うシーンもあった。豊田社長の返事は「“燃費のいい社長”と言われています」。

 トヨタは、2020年度の売上が前年比マイナス8.9%の27兆2146億円だったものの、当期利益はプラス8.1%の2兆2824億円。豊田社長の前年の報酬は4億4900万円だから、利益は増えているのに、報酬は1.6%減となったことになる。

「コロナ禍でも利益を確保しているわけですから、本当は報酬を下げる必要はないのです」

 と解説するのは、経済ジャーナリストの有森隆氏。

「それでもあえて減らしたのは、コロナの影響でどの企業も減収になっていることから、“気を引き締めよ”という社員に向けてのアピールでしょう」

孫正義氏は2億900万円

 海外の経営者と比較すると、日本の経営者の報酬は安いイメージがある。東洋経済の『「年収1億円超」の上場企業役員ランキング500』(2020年9月15日)から、有名企業の経営者の例をみてみよう。たとえば、ソフトバンクGの孫正義会長兼社長は2億900万円で176位、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4億円で51位。豊田社長は39位だった。

 ランキングの1位はセブン&アイHLDのJ.M.デピント取締役で、24億7400万円。同社の井坂隆一社長は500以内にも入ってなかった。参考までに2021年2月期の有価証券報告書を見てみると、井坂社長は1億2600万円で、デピント取締役は27億5500万円。外国人役員のほうが、日本人社長より高いのだ。

 実は、トヨタも同じ状況だ。役員の中で最も報酬が高いのは、昨年6月に取締役を退任したディディエ・ルワロ氏で、前年よりも17.1%多い14億5100万円だった。豊田社長より10億円も高い。一方、内山田竹志取締役は2億2200万円、早川茂取締役は1億4000万円、小林耕士取締役は1億3400万円。外国人の取締役は、報酬がケタ違いに高いのだ。なぜなのか。

「ひとつには、日本の風潮があるでしょう。もし企業の“顔”である社長が10億円ももらっているとなれば、社内外から“貰いすぎ”という批判がでます。日産時代のカルロス・ゴーン氏20億円を超える報酬を得ていたことが発覚し、世間が騒いだのがいい例です。こうした点への配慮で、あえて報酬を低く抑えているのです」(同)

 海外との違いでいえば、こういう点も。

「とくに欧米では、業種をまたいで有力企業を渡り歩く『プロ経営者』も少なくありません。そういう人たちが日本に来た場合、報酬は日本基準でもなく、欧米の高い水準でもらうことになります」(同)

 ずいぶんと日本の経営者は損をしている……と思いきや、あながちそうでもないらしい。

「海外企業の場合、社長と意見が対立しただけで、『明日は来なくていい』とクビになるのは日常茶飯事。非常にシビアな世界です。一方、日本企業は業績がすべてではなく、しばしば“情実”も絡んでいます。経営面では、まだまだ甘いと言わざるを得ません。そうした環境の違いも手伝ってか、日本の経営者が海外で活躍するケースは稀です。今のところ海外から日本への一方通行となっています」(同)

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