超小型電気自動車は中国製が密かな人気 日本で2人乗りはミニカー登録不可の難点

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 2030年までに脱ガソリン車―。政府が打ち出した電気自動車(EV)戦略の先陣を切って、超小型電気自動車が注目されている。トヨタは、昨年12月に2人乗りのEV「C+pod(シーポッド)」を企業や自治体への限定販売を開始。2022年には個人向けにも販売予定だ。一方、中国製の超小型電気自動車も昨年から販売を始め、密かな人気を集めている。

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 超小型電気自動車は、“超小型モビリティ”とも呼ばれる。国土交通省は、「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義している。当然、高速道路や自動車専用道路は走行できない。

 ところがこの超小型モビリティ、1人乗りと2人乗りとでは、税制面で大きな違いがある。1人乗りはミニカー(第一種原動機付自転車)登録となり、車検はない。ところが2人乗りは、昨年9月に国交省が改正した道路運送車両法により軽自動車の一種と正式に区分されたため、車検が義務付けられているのだ。

 トヨタのシーポッドは2人乗りのため、車検が必要となる。ボディサイズは全長3400mmの軽自動車よりもずっと小さく、全長×全幅×全高は2490×1290×1550mm。最高速度は60キロで、航続距離は150キロ。充電時間は200Vで約5時間、100Vで約16時間となっている。価格は165万~171万6000円だ。

3人乗り側車付軽二輪

「現在、地方ではガソリンスタンドの数が減っていることもあり、電気自動車の需要が増えています」

 と解説するのは、自動車評論家の国沢光宏氏。

「ところがシーポッドの価格は165万円。この金額ですと軽自動車が買えてしまうので、そんなに売れないかもしれませんね」

 中国は昨年7月、米ゼネラル・モーターズ(GM)と上海汽車の合弁メーカーである上海通用五菱汽車が4人乗りの「宏光MINI EV」の販売を開始した。こちらは45~60万円とかなり安い。

「日本のメーカーには、電気自動車を安く作る技術がまだありません。その点、中国は進んでいますね。GMと組んだことで、宏光MINIは安全面でも優れています」(同)

 ちなみに1人乗りのミニカーの場合、衝突試験は免除となっているが、シーポッドのような2人乗り超小型モビリティは40キロ、軽自動車は50キロの衝突試験をクリアしなければならない。

 宏光MINIは、今のところ日本に輸出される予定はないが、昨年から中国製の超小型EVが次々に日本に輸入されている。なかでも、EV-LAND(本社・東京)が販売する屋根付きの三輪車「EV-TUKTUK(トゥクトゥク)」は、人気が高い。

「EV-トゥクトゥクは、ミニカーではなくバイク扱いのドア無側車付軽二輪登録となります。しかも後部座席には大人が2人乗車できます。勿論、普通免許で運転することが可能で、車検や車庫証明は必要ありません」

 とは、EV-LANDの岡部健一統括部長。

 シートベルトもあり、ヘルメットの着用義務はない。3年以上使用できるリチウムイオンバッテリー搭載で、価格は66万円(税込)と安い。

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