「イチケイ」終わって直ぐ「ナイト・ドクター」 “月9”復活を導く攻めの編成戦略とは

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シリーズ化とマンガ原作

「2つ目はシリーズ化です。最初のシリーズが人気だったからと言って、次のシリーズで2クールにわたって放送するのは勇気がいります。なにより、これまで月9でシリーズ化した作品は少ない。木村拓哉の『HERO』や福山雅治の『ガリレオ』以外、月9で始まったドラマがシリーズ化したものはほとんどない。ところが、次々作の『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(主演・窪田正孝)も第2シリーズだし、このところシリーズ化を増やしています」

 なぜシリーズ化を増やそうとしているのだろう。

「近年では、テレビ朝日が『相棒』や『科捜研の女』、『ドクターX』、『緊急取調室』などをシリーズ化して高視聴率を獲得していますが、これらは他局にとっては脅威であり、羨ましいかぎりです。1から新しいものを作り出すより、かなり楽ですからね。それをフジは狙っている。だからこそ、作品選びも変えてきました」

 作品選びが第3の攻めという。

「シリーズ化しやすいのは、オリジナル脚本ではなく、原作ものです。オリジナル脚本は新作を書いてもらわなければなりませんが、原作ものであれば、すでに続編はいくらでもできています。これは出演する俳優たちにとっても心強いはずです。3カ月で終了ではなく、人気が出ればパート2が約束されているのですから、モチベーションも上がります。中でも、最近の月9はマンガ原作が増えています。『朝顔』も『イチケイ』もそうでした。次の『ナイト・ドクター』はオリジナル脚本ですが、その次の『ラジエーションハウスII』も、その次の『ミステリと言う勿れ』もマンガが原作です」

 マンガ原作というと安易な気もするが……。

「昨今のマンガブームが根底にあることはもちろんですが、それでもこれまでドラマ化されてこなかった業種を選んでいます。『朝顔』は監察医、『イチケイ』は刑事裁判官、『ラジエーションハウス』は放射線科医と言った具合です。『ナイト・ドクター』も夜間救急専門医で、これまでメインとは言われなかった職種に光を当てようとしています。前例がないだけに簡単に映像化できるものではありません。まさに月9は攻めています」

 とはいえ、来年1月からの『ミステリと言う勿れ』は、すでに撮影がほとんど終わろうとしていると主演の菅田本人が「菅田将暉のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)で言っていた。

菅田:何がヤバイって、もう、ほぼ撮り終わってるという……言って大丈夫やね。もう俺も何もできないんですよ……。(理由は)CGがバキバキやから? 違うよ。アバターみたいなことじゃなくて。CGバキバキやから早撮りなわけじゃなくて、いろいろあって、もう先に撮っている。

「来年のNHK大河『鎌倉殿の13人』(主演・小栗旬)に源義経役で菅田が出演することもあって撮影スケジュールを早めたのでしょう。しかし、だからといって、半年も前に発表しなくてもいいはずです。人気の菅田を初めて月9の主演に迎え、月9人気は衰えていないことを業界内にアピールしているのだと思います。やはり月9が勢いに乗っている証拠ですよ。聞くところでは『イチケイ』も、来年か再来年には第2シリーズが放送される方向で話が進んでいるそうです」

デイリー新潮取材班

2021年6月21日掲載

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