コンパニオンの告白 コロナでイベントは激減、OL転職組もゼロからスタートの二重苦

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実際に転職した元コンパニオンは…

 緊急事態宣言によるキャンセルラッシュ。先の見えない不安から一般の仕事へと転職したイベントコンパニオンは少なくない。華月咲さん(29)もその一人だ。

 華月さんは緊急事態宣言前の昨年3月にいち早くコンパニオンを辞め、OLに転身した。

「2月の中旬ですでに仕事が少なくなっていき、コロナの足音が聞こえてきました。幕張メッセでイベントをやっていたとき、なんとなく人が少ないなと感じていて。本当は3月は28連勤だったんですが、それもなくなりました。そうした状況でしたし、もともとイベントコンパニオンの仕事は、人生経験を積むつもりでやっていたので……スパッと次の仕事に行こうと踏ん切りがつけられました。でもいろんな事情で決断できない子も多かったと思います」(華月さん)

 華月さんは28歳にして人生初の転職活動を行い、大手飲食チェーンの事務員に採用された。イベントコンパニオン時代よりも安定的に給料が出るOLに安心を感じる一方、転身の難しさも感じたという。

「それまでイベントコンパニオンとして培った経験ってOLでは全く活かせない。パソコンを使って仕事をしてきていないし、私たちの武器であるビジュアルも使えない。ゼロからのスタートが怖いというコンパニオンの子たちの意見はすごく聞きました」(華月さん)

 転職したことで、他のイベントコンパニオンからの相談をよく受けていたという華月さん。コンパニオン経験が長い人ほど、なかなか踏ん切りがつかなかったという。

「今も残ってる子はやっぱり日々の不安はもちろんあると思います、ただイベントコンパニオンを辞める人の割合はどんどん増えています。転職はもちろん、それこそ結婚したと報告してくる子も多かった。コロナが長引けば長引くほど、辞める子の数は増えていくと思います」(華月さん)

今春のイベントで見た光景

 最初に登場した皆月さんは、そうした状況でもコンパニオンの仕事を続けていたわけである。だが、今年1月8日に2度目の緊急事態宣言が発令され、再び仕事を失ってしまう。これが明けた今年4月、幕張メッセで開かれたある展示会で、彼女は衝撃的な光景を見た。

「毎年、幕張メッセで開かれて本当にたくさんの来場者が来るイベントで、コンパニオンの募集もすごく多い。今年も採用されてブースにいたのですが、本当にお客さんが少なくて。見渡す限りコンパニオンとクライアントさんしかいない。そんな状態で3日間、過ごしました」

 そして4月25日、3度目となる緊急事態宣言。4月末に行われるはずだった展示会は、東京ビッグサイトが無観客でしか使えなくなったため、前日になって中止が決まった。オンラインで開催される展示会も増え、前述のとおり東京モーターショーも中止、東京ゲームショウも今年はオンライン開催になった。イベントコンパニオンが活躍する場はない。

 自身の仕事に誇りを持っている皆月さんだが、イベントコンパニオンが“絶滅”するのではという不安も抱えている。

「この仕事をできれば続けたい。ですが年齢的なリミットもあります。32歳まではやろうと思っていましたが、現在26歳。果たしてそこまでやれるのか。仕事はどんどん減ってますし、これからオンラインの需要が増えて、採用もどんどん減っていくと思うと不安です。やりたいという気持ちとは裏腹に、できないんだろうなという諦めもあります」(皆月さん)

 皆月さんがこのコロナで感じたこと。それはイベントコンパニオンという立場の弱さであり、日本におけるフリーであることの難しさだ。

「日本の政府も政治家も全員正社員を目指すのじゃなく、多様な働き方を認めようと言っています。その多様さの一つに私たちのようなフリー、個人事業主があると思うんです。けれど、いざ危機的状況になったら全然こちらを見てくれない。手を差し伸べてくれない。結局は正社員になるのが、立派な大人の姿なのかなとか思ってしまいます」(皆月さん)

 皆月さんの悲痛な思いは、イベントコンパニオンという職業だけのものではないだろう。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮取材班編集

2021年5月30日掲載

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