「ドラゴン桜」の“半沢化”でわかった阿部寛の計算 連ドラ界で生き残る戦略

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パート2モノばかり

 もっとも、日曜劇場ファンにとっては、これまで通りの熱いドラマとなったのだから異論はない。それにしても、続編なのになぜガラッと変わったのだろうか。

「『ドラゴン桜』の演出が、福澤諭吉の玄孫である福澤克雄氏に変わったこともあります。たしかに『半沢』はじめ『下町』など一連の池井戸潤原作のドラマは彼が担当していましたからね。『半沢』に出演していた及川光博や駿河太郎、江口のりこ、山崎銀之丞も『ドラゴン桜』にも出演しているということもあり、日曜劇場テイストが強められています。もっとも、それに加え、TBSが得意とする正義VS悪というテイストの演出にすることは、阿部の強い希望もあったそうです」

 コメディも定評のある阿部ちゃんがなぜ?

「阿部は二枚目にもかかわらず、体を張ったコメディを演じられることで、役者としてブレイクしました。しかし、代表作である『TRICK』(テレビ朝日)や映画『テルマエ・ロマエ』は、14年を最後に続編は制作されていません。15年には『下町ロケット』第1弾がスタートし、熱い戦いを演じて、平均視聴率18・5%、最終回は22・3%と大ヒットしました。18年の第2弾も前作ほどではありませんが、ヒットしました。この成功を受けて、阿部は悩んだようなんです。他局からももちろん、多くの主演オファーが舞い込みましたが、失敗は許されない。ヒットする確率の高い作品に出演したい、と。そのため、近頃は過去に成功した作品のパート2ばかり出演するようになっています」

 19年には、「結婚できない男」(フジテレビ・関西テレビ制作)の13年ぶりの続編「まだ結婚できない男」(同)に出演した。

「そしてTBSに関しては、福澤作品にしか出演しなくなっているようです。10年のドラマ『新参者』の劇場版である『祈りの幕が下りる時』(18年公開)の監督も彼になりましたからね。かなり信頼しているのでしょう。ですから、今回も福澤はじめ、『下町』と同じスタッフであれば、『ドラゴン桜』第2弾に出演してもいいとTBSに打診したといいます」

 俳優は役のイメージがつくことを嫌い、“パート2”や“続編”をやりたがらないと言われるが、

「石橋を叩いて作品を選び、人気作品にはできる限り出演し続けるというのが阿部の戦略のようです。彼も現在56歳、万が一、主演作で低視聴率を出してしまうと、次に出演オファーが来なくなりますからね。そもそも彼はモデルから役者に転向した際、チョイ役ばかりで長く不遇の時代を味わっています。民放の連ドラ初主演が2000年の『TRICK』でしたから。さらに『下町』のヒットで転機が訪れた。『ドラゴン桜』の桜木の名言“バカとブスは東大に行け!”ではありませんが、“芸能界で生き残るにはパート2に出ろ!”という戦略なのかもしれません」

デイリー新潮取材班

2021年5月23日掲載

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