デヴィ夫人も驚いた「仮想通貨SWE」の貸金トラブル いわくつきの「リクルート株詐欺」との組み合わせで

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売買不能

 占領下の日本からGHQの接収した財宝や資産が原資との触れ込みのM資金。その秘密資金を数千億円単位で融通すると持ちかけ手数料名目で大金を巻き上げるのが「M資金詐欺」だ。この古典的なM資金詐欺に代わって台頭してきたのが「リクルート株詐欺」と言えるかもしれない。

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 そのリクルート株詐欺と、デヴィ夫人を宣伝に起用した仮想通貨が組み合わさった貸金トラブルが持ち上がっている。被害を訴える都内の不動産会社社長曰く、話を持ちかけてきたのは、「SWE(シルバーウェーブエナジー)」なる仮想通貨の日本における責任者。

 そもそもSWEとは、シンガポールに本社のある同名の石油関連企業が、南アなどで石油生産に乗り出す資金を調達するために発行した仮想通貨のこと。

 社長曰く、2018年、責任者から「2000万円を1カ月間貸して欲しい」と依頼された。「知人の韓国人が手掛ける仮想通貨“スームコイン”が近々上場し、値上がり確実で、その投資資金が必要とのことだったのです」

 責任者は、1カ月後には最低でも2倍にして返すと請け合ったが、上場初日に取引所のサーバートラブル。スームコインは売買不能に陥った。

時価11億円以上

 社長は返済を求めるなか、「スームコインはダメでもSWEは本物ではないか」と、一旦はSWEを信用したという。理由は、動画だ。SWEの最高責任者であるミャンマー人とデヴィ夫人がエネルギー事業の将来性について語り合う対談映像だった。

 しかしSWEは、19年にシンガポールの取引所に上場したとたん、大暴落。業を煮やした社長が「警察に相談する」と突きつけると、日本の責任者はリクルート株を持ち出してきた。

 リクルート株詐欺は、江副浩正元会長がかつて政治家や企業経営者らにばら撒いた株を現在の所有者から安値で手に入れられると持ちかけ、キャッシュを騙し取る手口。

 責任者は株券の現物を目の前に差し出して、「1万株が株式分割で、いまでは30万株分に増え、これ1枚で時価11億円以上に相当する」と話し、「エイチ・アイ・エスの澤田さんも目にできなかった株券だ」と言い張ったという。

 結論としては、この株券は紙くず同然なのである。M資金にしてもそうだが、いまどきの仮想通貨に一時代前のリクルート株を絡ませるとは、つくづく、詐欺の道具には事欠かない。

週刊新潮」2020年8月27日号「MONEY」欄の有料版では、不動産会社社長が騙された経緯とカラクリ、デヴィ夫人の映像について詳報する。

週刊新潮 2020年8月27日号掲載

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