28枚の「小室文書」に拒絶反応を示す日本人特有の感情 欧米人との明らかな違い

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天皇家という“特別”な存在

 だが世間の常識は違う。それを分かっている法曹家も、実のところ少なくないという。

「何しろ日本語には『裁判沙汰』、『訴訟沙汰』という言葉もあります。市井の人々にとって、法的なトラブルを抱えている人は、その人の主張が正しかろうが間違っていようが、それだけで問題行動なのです(同・佐藤氏)

 一方のアメリカは異なる、と佐藤氏は指摘する。

「多民族国家ですから、人々の間に暗黙のルールが成立しません。法律を制定し、それに従うことが最も合理的なのです。アメリカが“訴訟社会”になる理由の1つです」

 仮に小室氏が欧米人で、ヨーロッパの王室を舞台にした金銭トラブルであれば、謝る必要はなかったかもしれないという。

「法律論を展開し、謝罪の文言が一切ないという文書でも、欧米なら受け入れられた可能性はあります。しかし、ここは日本です。小室さんは金銭トラブルの報道が行われた際、一刻も早くまずは謝罪すべきでした。最初に謝っていれば、世論は変わったかもしれません。今でも会見を開くなどして謝罪すれば、かなり世論は軟化する可能性があるのではないでしょうか」(同・佐藤氏)

結婚と“家柄”

 秋篠宮さま(55)も指摘されたが、日本国憲法は結婚を《両性の合意のみに基づいて成立する》と定めている。

 近代法を生んだ西洋社会は個人社会であり、それが結婚にも反映されている。しかし、かつての日本で結婚は、個人と個人が行うものではなかった。家と家が結びつく要素が大きかった。

「小室さんに対する批判から、日本人はやはり伝統的な結婚観から逃れられないことが浮き彫りになりました。これは議論の対象が天皇家ということも大きいでしょう。普段なら個人と個人の結婚という考えに理解を示す人でも、小室さんの問題では結婚に反対しても不思議ではありません。何しろ天皇家は特別に別格の“家柄”を持っていると考えられています」(同・佐藤氏)

 眞子さまの結婚相手は、天皇家にふさわしい“家柄”の子息でなければならない──こうした見解に賛成する日本人は、令和の時代でも圧倒的多数だろう。

 眞子さまという女性を“法の下に平等な個人”として捉え、彼女と小室氏の合意だけが結婚を成立させる唯一の条件──こう考える日本人は少数派に違いない。

天皇と戦後民主主義

「今回の金銭トラブルは小室さんが抱えているものではなく、お母さんの問題と見なすこともできます。近代法思想の中核を占める“個人主義”を前提とすれば、小室さんは金銭トラブルと無関係であり、眞子さまとの結婚に支障はないとも言えるはずです。しかし、結婚に反対する意見は日本で非常に多い。これは天皇家と小室家の結婚と考えている人が多数を占めるからでしょう」(同・佐藤氏)

 日本の伝統的な“暗黙ルール”と、明治以来の“近代的な法哲学”の間で苦しんでいる1人が、秋篠宮さまだという。

「天皇家は戦後、日本国憲法の遵守を常に表明されてきました。しかし、同じように日本の伝統も大切にされてこられました。結婚は『両性の合意のみについて基づく』という日本国憲法の記述を、秋篠宮さまが無視されることはないでしょう。しかしながら、世論が“暗黙ルール”によって反対する理由も、よくお分かりのはずです」

デイリー新潮取材班

2021年5月4日掲載

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