“半沢色”満載、異例の続編「ドラゴン桜」、前作と作風がガラリと変わった事情

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長澤まさみに変化も

 前作に引き続き登場する水野直美(長澤まさみ、33)のキャラクターが微妙に変化したところも小気味よい。16年前には劣等生だったが、1浪して東大に入り、弁護士になっている。龍海学園高の立て直しを引き受けたのは水野で、桜木を雇っている立場だ。

 前作では憂いを感じさせる繊細な少女だったが、人生経験が水野を強くしたのだろう。桜木からの経費の請求書を見て、「なんじゃこりゃ! ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ」。現実的でユーモラスな女性になっている。

 ちなみに続編の第1話は25分拡大でスタートしたが、その拡大部分のスポンサーになったのは長澤がCMキャラクターを務めるクボタとカルピス(販売はアサヒ飲料)など。3月末まで放送されていた綾瀬はるか(36)主演の「天国と地獄」の拡大部分はやはり綾瀬がCMキャラクターのパナソニックがスポンサーになっていた。女優がCM獲得に貢献した形。最近のトレンドになりつつある。

 2話以降でクローズアップされる東大専科の生徒役は前作と同じく粒ぞろい。まず期待したいのは原健太(細田佳央太、19)。周囲とコミュニケーションを取るのが極端に苦手だが、昆虫好きで心やさしい少年だ。演じる細田は人気少女漫画を原作とする映画「町田くんの世界」(2019年)に主演し、高い評価を受けた。

 成績優秀ながら高校卒業後は就職するという小杉麻里を演じる志田彩良(21)も注目の人。「ゆるキャン△」(テレビ東京)で高校生・恵那を演じている。すぐ隣にいそうな少女を自然に演じられるが、それでいて画面内での存在感が強い。2017年には映画「ひかりのたび」(2017年)で主演を務めている。

 助演陣で存在感を示しているのが林遣都(30)だ。桜木にとって敵か味方か分からないIT企業社長の坂本智之である。

 林は善人役も似合うが、下心を隠した男や過去のある人間を演じさせたら絶品。内面が複雑な人間をさらりと演じる。桜木が倒すべきラスボスは坂本になるのではないか。

 初回の世帯視聴率は14.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。延長も含めての数字だから、かなり高い。4月期ドラマの初回では「イチケイのカラス」の13.9%を上回り、トップだった。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月29日掲載

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