日本にも上陸! 韓国チキン・フランチャイズの仁義なき戦い 過当競争で共食いの死屍累々

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マクドナルド全店の2倍以上

 韓国でフライドチキンはめっぽう人気で、韓国語でビールを意味するメクチュとチキンとを合わせて「チメク」と呼ぶ造語もあり、夏の暑い日などは「チメクしに行こうか?」という言葉があちこちで飛び交う。そんな韓国チキンが日本に改めて上陸し、それなりに人気を博している。ただ、韓国では参入障壁の低さからチキン店を開業する人たちが相次ぎ、“共食い”状態となって閉店に追い込まれるケースが増え、社会問題となっているという。

 韓国の外食フランチャイズで大成功を収めているペク・ジョンウォン氏は、バラエティ番組「路地裏食堂」で、韓国にチキン店が多い理由をこう語っている。

 ペク・ジョンウォン氏によると、韓国国内にあるチキン店は、2019年時点において約8万7000で、これは全世界でのマクドナルドの店舗数の2倍以上にあたり、日本の全コンビニ店舗数も凌ぐ。

 これほど爆発的に増えた理由として、他業種に比べて開業資金が安いからだとペク・ジョンウォン氏は語る。

 開業資金で見てみると、細長い餅を甘辛く煮たトッポギや韓国海苔巻きといわれるキンパプなどを販売する軽食店は6400万ウォン(約620万円)、いわゆるカフェは1億2000万ウォン(約1170万円)であるのに対し、チキン店は5716万ウォン(約556万円)となっている。

 また、デリバリーでの注文が多いため、超繁華街に店を置く必要も、それなりの広さが求められることもなく、加えてたくさんのスタッフを雇う必要もないから、家賃や人件費などの固定費が抑えられる。そのあたりもチキン店の開業のしやすさであるとペク・ジョンウォン氏は指摘している。

半径500メートル以内に24店舗

 代表的なデリバリー専門アプリを使って、ソウル市内で半径500メートル以内にチキン店の数がどれくらいあるかを調査したところ、24店舗もヒットした団地エリアがあると報じられたこともある。

 こういった過当競争については後述するとして、日本に韓国のフライドチキン専門店が上陸したのは2014年のこと。人気チェーンの「bb.qチキン」がフロンティアだったのだが、翌2015年、早々に閉店となった。

 続いて2015年12月に東京に進出した人気チェーン店「キョチョンチキン」も2016年8月、開店から1年も持たずに撤退した。

 その上陸失敗の理由はいくつか指摘されてきた。

 第1に単価が高かったことが挙げられる。当時キョチョンチキンのフライドチキンは6本で2000円弱。日本ではコンビニで販売しているチキンのクオリティが高くてかつ安価で、韓国チキンにとっては大きな壁として立ちはだかった。

 第2に、黒いお皿に無造作にチキンを並べただけという不愛想なレイアウトが不興を買ったとされる。

 日本では一敗地にまみれてきた韓国フライドチキンだが、Netflixが日本で2020年2月から配信した大人気ドラマ「愛の不時着」で、チキン店でのひとときを魅力的に描いたことが契機となって、注目されるようになった。

 先に触れたbb.qチキンは、まさに「愛の不時着」に登場するチェーンで、日本では、「bb.qオリーブチキンカフェ」として東京に店舗を構え、2021年には神奈川、埼玉、大阪にもオープンしたという。

 他にも韓国の大手チェーンの「ネネチキン」や「グッネチキン」も日本各地に店舗を展開しつつある。

 当のグッネチキンは、タレに漬け込んでから焼いたり揚げたりしたチキンにチーズを絡めて食べる「UFOフォンデュ」の人気に火をつけた店だ。

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