韓国で「日本の官僚の口に原発汚染水を」の声 蛇口から寄生虫 福島原発以上の放射性物質タレ流し

国際 韓国・北朝鮮

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穴が開いたことにすら気づかず原発を稼働

 日本政府による海洋放出許可に合わせ、経産省は各国の処理水排出状況をまとめて発表している。

 その中には韓国も含まれており、主要原発である月城(ウォルソン)原発は2016年に液体約17兆ベクレル、気体約119兆ベクレルの約136兆ベクレルを放出しているとある。

 しかし、中央日報をはじめとする一部メディアでは、この内容を引用したうえで「月城原発の場合、液体放射性廃棄物を6700分の1で希釈して放流。放射性物質の平均濃度は1リットル当たり13・2ベクレルだった。福島の場合、汚染水を希釈し1500ベクレルで放流すると公表しているが、放流水濃度は月城原発の100倍以上になる」などと反論報道を行っている。

 この報道内容は事実に基づいたものなのだろうか。

 参考になるのが、2016年に発表された韓国による原子力発電白書資料だ。それには、韓国はトリチウムを海洋排出だけで年間191兆ベクレル、気体でも196兆ベクレル放出していると記載される(2015年基準)。

 日本が海洋放出を予定している処理水の放出量は年間22兆ベクレルであり、ケタが違う。韓国は本気で国際海洋法裁判所に提訴できると思っているのだろうか。

 ちなみにこの月城原発は2012年、1号機に濾過排気装置を設置するための基礎工事の過程で、使用済み核燃料プール下部の遮水幕に穴が開く事故が起こしており、この損傷部は9年が経過した今でもまだ復旧していない。

 しかも2018年までの6年間、穴が開いたことにすら気づかず原発を稼働させていた。

 この1号機の貯蔵庫下の地下水から、1リットル当たり最大3万9700ベクレルのトリチウムが検出されており、2号機(2万6000ベクレル)の1・5倍、3号機(8610ベクレル)の4・6倍も高い放射能物質が漏れ出していると2020年末に現地メディアによって報道されている。

 ところでこの月城原発は、割と釜山に近い慶州(キョンジュ)市にある。

 今年1月、釜山の海水と土壌から微量放射性物質が検出されたと調査報告が上がった。しかし、この微量放射性物質は国が定めた基準値内のため問題ないと結論づけられている。

 月城原発1号機から処理前の汚染された放射線物質が漏れ出していても、基準値内で収まっているということで不問に付しているのだ。もっと厳格なルールに基づいて放出される福島の処理水に異議申し立てされるいわれはまるでないだろう。

水道水の深刻な汚染

 韓国では今も虫くだしの薬を定期的に服用する習慣がある。駆虫薬とも呼ばれ、寄生虫を殺すか排出するためのものだ。

 人糞を肥料にした農作物や生肉を食する風習から寄生虫の感染率が増加した過去があるため、この薬を服用するようになったと言われているが、水道水も例外ではない。

 韓国では、水道水をそのまま飲料水として口にすることはほぼなく、浄水器を通すかミネラルウォーターを飲むことが一般的である。

 水道局や韓国政府は、水道水を飲んでも問題ないと公言しているが、韓国国民はこれを信用していない。

 実際に、昨年夏には家庭の蛇口から赤い幼虫が出てきたと相次いで報告が上がっている。

 筆者の家では幼虫は出てこなかったが、知人の住むマンションで発生したと聞いたくらいだからすぐそばにある“事件”であり、日本では考えられないレベルの話だ。

 2019年には飲料用として使われている地下水76カ所から、最大で1リットル当たり4700マイクログラム(基準値の157倍)を超える高濃度ウランが検出された。

 また、同じく19年には「電子機器やバッテリーに由来するリチウムが、都市部の河川上流域に最大600%に達する濃度で流入、水道水を汚染している」という論文も発表されている。

 2017年6月19日、文在寅大統領は釜山郊外にある古里(コリ)原発運転終了に際した演説で、「2016年3月現在、(福島第一原発事故で)1368人が死亡し、被害復旧に総額220兆ウォン(約22兆円)という天文学的な予算がかかるそうだ。事故後、放射能の影響による死亡者やがん患者の発生数は把握すら不可能な状況だ」と語った。

 金額はともかく死亡者は1人もいないわけだから、明らかなフェイクである。同月28日に韓国大統領府関係者は「誤りがあった」と発表したとはいえ、遅きに失した感がある。

 冒頭にも述べた通り、韓国が今回の件について提訴するためには日本が国際法違反を行っていると証明しなければならない。

 しかしここまで見てきたように、韓国の汚染状況は日本の比ではない。提訴すれば逆に恥を晒すことになりかねない。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

2021年4月19日掲載

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