「何度見ても楽しめる」、山崎豊子作品が繰り返し映像化されるワケ

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 2年前、テレビ東京とテレビ朝日で、「開局記念」の冠番組として、立て続けにドラマ化された山崎豊子作品。この4月18日から、やはり「開局30周年記念」と銘打って放送・配信されるのは、累計266万部(新潮文庫、全3巻)の超ベストセラー、『華麗なる一族』だ。

その魅力は“歌舞伎”と同じ

 テレビ局にとって山崎作品は、節目となる年にドラマ化したい大型企画のようだ。2019年3月、テレビ東京が「開局55周年記念」として2夜連続で放送したのは、「二つの祖国」。戦中戦後の日系人の苦難を描いた作品だが、小栗旬主演で話題を呼んだ。多部未華子、仲里依紗、高良健吾、ムロツヨシなどが共演、A級戦犯として裁かれる元首相・東條英機をビートたけし、思想家・大川周明を笑福亭鶴瓶が演じるなど、豪華キャストが注目された。

 続く5月に放送された「白い巨塔」は「テレビ朝日開局60周年記念」だった。先日、年内解散が発表された「V6」の岡田准一が医師・財前五郎役で登場。こちらは5夜連続放送で、松山ケンイチ、沢尻エリカ、寺尾聰などが出演している。

 これら二つの作品に共通するのは、いずれも過去に映像化されているという点。「二つの祖国」は「山河燃ゆ」のタイトルで、1984年、NHK大河ドラマにて放映(主演・松本幸四郎〈現・白鸚〉)。「白い巨塔」に到っては、1978年(主演・田宮二郎)、2003年(主演・唐沢寿明)と過去に2度ドラマ化されている。しかも唐沢版はフジテレビの「開局45周年記念ドラマ」だった。さらにはこれ以外に、映画版も。

 なぜこれほどに山崎作品は、映像化における「強力なコンテンツ」となっているのだろう。長年、山崎作品の映像化に関わってきたスタッフによると、「その魅力は歌舞伎と同じ」だからだという。

「山崎作品は時代を超えて、何度でも楽しめるのです。『義経千本桜』とか、『忠臣蔵』とか、歌舞伎の名作と一緒です。ストーリーを知っていても、また、繰り返し見ても飽きがきません。それどころか、先代、先々代の名優たちが演じた舞台を見ていれば、それらと比較できるのも魅力です。山崎作品もそれとまったく同じ。リバイバル版では、視聴者はその時々の人気俳優の演技や新しい演出を見たい。しかも世代を跨ぎ、親子で楽しめます」

 一方で演じる役者にとっては、「かつて名優が演じた役を、今度は自分が演じる」という楽しみがあるという。しかもその役者にとって、その役は後々まで「代表作」と呼ばれることが多いのだ。

SNSでは5年後のキャスト案が話題に

 さて、今回の「華麗なる一族」。金融界を舞台にのし上がっていく男を描いたものだが、これまでにやはり2度、映像化されている。1974年の映画版では主人公・万俵(まんぴょう)大介は佐分利信。月岡夢路演じる妻・寧子(やすこ)に対し、愛人・相子は京マチ子だった。そして2007年のTBS版では北大路欣也の大介に、原田美枝子の寧子、相子は鈴木京香が演じた。この時は大介の息子・鉄平役に木村拓哉を起用し、こちらも話題となった。

「山崎作品の映像化は、何年に1度開かれる『お祭り』のようなものなのです。視聴者も役者もスタッフも一緒になって盛り上がれる。そして番組が終了すると、『次の映像化では、あの役は誰が演じるのだろう』と、また盛り上がる。実際、2年前の岡田版『白い巨塔』の放送後には、SNSでは5年後のキャスト案の話題で持ち切りでしたから」(先のスタッフ)

 WOWOW版「華麗なる一族」の配役は、大介・中井貴一、寧子・麻生祐未、相子・内田有紀。前回、木村拓哉が演じた長男・鉄平役は、向井理が務める。すでにファンたちの間では、次の配役をめぐって、侃々諤々の議論が巻き起こっているという。

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