「V6」解散で考える、「ジャニーズ・アイドル」それぞれの身の振り方の具体例

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ジャニーズ・アイドルの分岐点とは

 V6の解散はジャニーズ事務所の崩壊の序章である――そんな言説に『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著者・霜田明寛氏がNOを突きつける。「30代・40代になったら競争しないのもひとつの選択肢」として、ジャニーズは、自ら延ばしたアイドルの寿命に向き合うタイミングにあるという。

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 V6が解散を発表した。森田剛はジャニーズ事務所を退所するという。

 これを、近年ジャニーズ事務所を辞めたタレントの名前と並べて取り上げて「ジャニーズ事務所の崩壊のはじまり」「ジャニー喜多川亡き後の事務所の求心力の低下」などと書き連ねることは簡単だ。

 事実そうした言説も見られる。だが、本当にそうだろうか。

 そうした主張をする人の中には「アイドルは右肩上がりで成長し続けるもの」という幻想があるのかもしれない。もしくは「アイドルが長い間アイドルでい続ける」という現象に慣れてしまっているのかもしれない。

 そう思ってしまうとしたら、それはSMAPのせいだ。

 いや、SMAPのお陰、と言ってもいい。

 ジャニーズ・アイドルはSMAP以前と以後に大きく分けられる。

 たとえば80年代にデビューしたシブがき隊は6年、光GENJIは8年。しかし1991年にデビューしたSMAPは25年間グループ活動を続けた。

 社会現象と言われた光GENJIでさえ、活動後期はメンバーも次々に脱退し、徐々にセールスも落ちていき解散に至るという流れだった。

飛躍的に延びた寿命

 だが、SMAPがCDセールスで自身最高を記録したのはデビューから12年も経った2003年のことだ。

 もちろんそれ以降も第一線で活躍し続けたことは記憶に新しいだろう。

 SMAP以降、ジャニーズ・アイドルの寿命は飛躍的に延び、今年でTOKIOはデビューから27年、V6は26年、KinKi Kidsも24年が経つ。

 そうなると、アイドルは長く続いて当たり前、売れ続けて当たり前という認識が自然とできあがってしまう。

 永遠と続くものかのような錯覚に陥ってしまっていたために、解散という言葉に大きな衝撃を受ける。嵐の活動休止も、デビューから20年の時が経っているにも関わらず人々のショックは大きかった。

 今回のV6の解散は森田剛の「ジャニーズ事務所を離れた環境で役者としてチャレンジしたい」という申し出がきっかけだったという。

 しかし、冷静に考えれば、40代になった男性が、アイドルとは別の道を歩もうという意思を持つことは、そうおかしなことではない。

 ひとつの成功を収めた人間たちが、別の道を歩もうとする。それ自体は揶揄されるべきことでもないし、ましてや「崩壊」や「求心力の低下」と結びつけるのは早計だろう。

 もっとも、「V6の人気が落ちたから」と理由を決めつけるのはもっと短絡的だ。

 視聴率やCDセールスなどわかりやすい数字が下がると「人気の低下」などと騒がれるが、そもそも数字を伸ばし続けることが本当に必要なことなのだろうか。

 SMAP以降のジャニーズ・アイドルは“現象”ではなく、20年以上もの時間を経て根付いた“文化”である。

 文化は成長が求められるものではなく、存続それ自体が意味を持つものではないだろうか。

 そして当たり前のことながら、“現象”を起こした彼らにも、人生がある。現象は終わるが、人生は終わらない。

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