「女性宮家」創設へ前進か 菅総理はイデオロギーなし、議論を避けた安倍前総理との違い
安倍政権が先送りにした「皇位継承の安定」
長らくの懸案である「皇位継承の安定」に向けた議論が、ようやく緒につく運びとなった。政府は今月中にも有識者会議を設け、2021年度内の国会への報告を目指すという。
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上皇さまの「退位特例法案」が国会で成立したのは2017年6月。そこには、
〈安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について本法施行後すみやかに検討を行い、国会に報告する〉
との付帯決議が盛り込まれていた。そして、この議論がいよいよ今月中に始まると、先ごろ報じられたのである。
全国紙デスクが言う。
「安倍政権は、特例法の施行後どころか御代替わりを過ぎてもなお、この問題をひたすら先送りにしてきました。というのも、前総理自らが伝統的な男系男子による皇位継承に固執しており“女性宮家構想は女性・女系天皇へと道を開きかねない”という警戒感が、政権内に根強かったのです」
このため、議論はいっこうに進まず、
「昨年2月には、当時の菅官房長官が『(昨年4月予定だった)立皇嗣の礼を終えた後に本格的な議論に入る』と述べたものの、コロナ禍で儀式は11月に延期されてしまった。また年末には“有識者会議の設置を検討”という報道もあったのですが、年明けに再度の緊急事態宣言が発令されたこともあり、日程のめどが立ちませんでした」(同)
安倍前総理「この問題は、あと40年間は議論しなくていい」
両政権が課題を店晒しにしたまま、上皇さまの退位から間もなく2年が経つわけだが、
「新年度をまたぐようなことになれば、政権の“不作為”がいっそう露呈し、従来の支持層である保守派からも反発を招きかねません。こうした事情もあって今回、菅政権はようやく重い腰を上げたわけです」(同)
これまでは、有識者会議を設けず専門家へのヒアリングを重ね、結論は出さないで論点整理にとどめるといった案が有力視されていた。現にヒアリングは人知れず密室で続けられてきたのだが、ここにきて有識者会議設置へと方針転換したわけだ。一方で、上皇さまの生前退位を実現するために16年から始まった「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で、座長代理を務めた御厨貴・東京大学名誉教授は、一貫してオープンな形での議論を提唱しており、
「端的に言えば、遅きに失したと思います」
そう断じるのだ。
「議論を始めること自体は結構ですが、もっと早く、安倍前首相の時代に手掛けるべきでした。その理由は、いろいろと問題はあったものの政権が安定しており、国民の関心を受け止めやすかったからです。そうした静かな状況で話し合うべきだったのに、安倍さんはかつて私に“この問題は、あと40年間は議論しなくていい”とはっきり言いました。つまり、自分の代では触りたくなかったわけです」
「菅総理はそれほど皇室のあり方に思い入れを持っていない」
“悠仁さまがいらっしゃるから当面は大丈夫”との思いもあったのだろうが、皇室への“姿勢”を如実に物語るエピソードだ。一方で菅政権については、
「非常に不安定な状態が続いており、現在の混迷を乗り越えられても、秋までに総選挙もあります。せっかく議論を始めても選挙期間中は中断せざるを得ないでしょうし、もし大敗して退陣などとなれば、また立ち消えとなってしまう。本来、こうした状況での議論は避けた方がいいのですが、コロナ禍において今後の象徴天皇制をどうするのか、遅まきながら現政権は“本気で考えなければいけない”と気付いたのでしょう」(同)
そして、その有識者会議の行方については、
「現時点で、男系を絶対に維持しようと考えている人たちと女性・女系天皇の容認論者がいくら議論しても、わかり合えることは殆どありません。ただし菅さんには、男系にこだわったり女系を容認したりといったイデオロギーが全くない。重視するのは内閣にとって役立つかどうか、つまり成果主義でヒットさえ打てばよいわけで、ご本人はそれなりの結論、結果が出ることを望んでいるはずです」(同)
というのだ。加えて先のデスクも、
「安倍政権では、女性・女系天皇はあり得ず、前総理の持論である“旧宮家男子の皇族復帰案”と、付帯決議にもある“女性宮家”について両論併記の形で提起し、結論は先送りにするシナリオが組まれていました」
そう前置きしながら、
「ところが菅総理は、前任者ほど皇室のあり方に思い入れを持ち合わせておらず、また政権内には、旧宮家男子の復帰を“グロテスクだ”と嫌悪する高官もいて、必然的に選択肢は狭まります。昨年秋には、結婚後の女性皇族を『皇女』の称号で特別職の国家公務員とする案が浮上し、女性宮家構想が見送られる見通しだと報じられたこともありました。それでも、今後の議論いかんでは、ふたたび女性宮家が有力とならざるを得ない状況なのです」