「JRA」給付金不正受給問題がマスコミに飛び火 問われる競馬記者たちのモラル

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「競馬記者に記者倫理なんてないですよ」

 だが、B記者の受給が適正なものだったのかについては疑問が残る。B記者は副業を含む収入が前年同月比で50%以上下回ったために給付条件をクリアし、それはコロナ禍の影響によるものだと主張するが、一方でJRAは「競馬のレースは中止しておらずコロナ禍による影響は限定的だった」とし、日本調教師会も不適切に受給した可能性がある関係者に対し返還するよう求めている。B記者の副業も競馬関連だ。B記者は「競馬関連のイベントが中止になった」と主張するのだが、それが彼の副業全体の中でどのくらいのウエイトを占めているのかなど確認しても、「個人情報にあたるのでお答えしたくない」と明確な説明を得られなかった。

 あるJRA関係者は、一連の問題で競馬記者に疑念の目が向けられていることについて、こう指摘する。

「競馬村の中にズブズブに浸かっている彼らに“記者倫理”なんてありませんよ。貰えるものは貰っちゃおうという発想だったのでしょう。例えば、競馬記者の基本的な仕事に、調教の様子を取材し、馬の調子を書く仕事がありますが、彼らは調教師の顔を伺って、絶対に調子が悪いとは書きません。“この馬は適当に書いておいて”と調教師が言うと、本当に適当に書いてしまうのが競馬記者。もっとひどいケースだと、人気の高い馬の調子が悪いという情報をキャッチすると、自分たちだけでその情報をもとに馬券を買いに走るのです」

 副業も盛んで、本業そっちのけになる人も多いという。

「業界紙の記者たちは騎手と厩舎をつなぐ“エージェント業”も公然とやっています。勝てば数%の報酬がもらえる制度で、いい人だと年収以上の収入をエージェント業で稼いでしまう。彼らの中には、そうした“副業”で本業以上稼いでいる人もいるのです。厩舎側のマネージャーを非公然とやって、報酬を得ている記者も多い。当然ながら、“印を書く”記者本来の仕事ではありません」(前出・元記者)

 スポーツニッポンに、A記者自身が受給していた疑惑についても聞いたが、「現在調査中につき、お答えできません」との回答だった。

 まだまだ新たな疑惑が噴出しそうな今回の不正受給問題。国から賭博業の認可を受けているJRAにおいては、絶対にあってはならないスキャンダルであろう。ましてや、メディアが関与するなど言語道断である。一刻も早い真相解明が待たれる。

デイリー新潮取材班

2021年3月1日掲載

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