「綾瀬はるか」主演ドラマ、「平均視聴率」ベスト&ワースト3から導き出される結論は?

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ワースト作は…

 ここからはワースト3の紹介だ。第3位は意外にも今後、映画版の公開が控えるこのドラマ。17年10月クールに放送された「奥様は、取り扱い注意」(日テレ系)である。ワースト3位とはいえ、12・7%も取っている点はすごいのだが……。

 綾瀬演じる専業主婦の伊佐山菜美は、元スゴ腕の特殊工作員という過去を持っていた。そのスキルを使って周囲の主婦たちの様々なトラブルを解決していくという、笑いあり、アクションありの痛快エンタメ作品である。

 最大の見どころは綾瀬が披露したキレキレのアクションだろう。西島秀俊が演じた夫の勇輝が、表向きはIT企業を経営しているが、裏の顔は公安のエリートで、そのことを隠している設定もドラマを盛り上げた。最終回で勇輝は自分の正体を菜美に明かし、拳銃を突きつけるという衝撃的なシーンで幕を閉じたが、その後を描いた映画版が今年3月19日から公開予定。要必見である。

 残るワースト2作品はともに6・8%で並んでいる。まずはNHK総合で16年から3年間に亘り全22回で放送された「精霊の守人」シリーズだ。

 作家で文化人類学者の上橋菜穂子のファンタジー小説『守り人』シリーズ全10巻の実写化で、綾瀬演じる女用心棒のバルサの冒険活劇である。バルサは短槍使いの凄腕用心棒で、精悍で男勝りな性格。それまで比較的女性らしい役でヒット作を連発してきた綾瀬にとって、初の本格的なアクションに挑戦した作品となった。体当たりでこなしたアクションシーンを見事に演じ、17年にはジャパンアクションアワードでベストアクション女優賞最優秀賞を受賞している。アクション女優としての可能性も広げた一作といえるだろう。

 NHKのドラマは朝ドラと大河ドラマ以外、あまり視聴率が高く出ない傾向にある。期間を空けて3年に亘って放送という形も珍しい。一ケタの視聴率に終わったのも、仕方ないのではないだろうか。

 その点、問題はこの1作である。16年1月クールに放送された「わたしを離さないで」(TBS系)だ。

 日系イギリス人作家のカズオ・イシグロの同名小説が原作である。世間から隔離された施設で“普通の子ども”として育てられてきた3人の男女が、実は生まれながらにある使命を与えられた“特別な子ども”であることを知ってしまい、自分たちの“本当の運命”と向き合っていく……というヒューマンサスペンス。

 特別な使命を抱えた3人は、綾瀬のほかに三浦春馬と水川あさみという実力派が演じるということで、かなり期待されていた。が、最高視聴率は2度記録した7・7%がやっとで、全10話の平均視聴率は6・8%という大惨敗だった。低空飛行に終わった理由として「クローン」や「臓器提供」といった暗いテーマだったことが挙げられるだろうか。展開も“絶望”に向かって進んでいっただけに、見ている側としてもかなりキツかった。このドラマが放送された翌年にカズオ・イシグロはノーベル文学賞を受賞しているので、タイミングが早すぎたのも不運であった。

 結果的に二ケタを割った連ドラ主演作は2本のみ。平均で12%を取れたら合格点とされる昨今、綾瀬はるかはやはり“数字を持っている”女優なのである。

上杉純也

デイリー新潮取材班編集

2021年3月1日掲載

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