冬ドラマ1番人気は「天国と地獄」 実はすでにNHKで実験済み?脚本家の強かさ

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「相棒」も上回る視聴率

「個人視聴率は8%台をキープしており、ほとんどの回で『相棒』をも上回る、民放ドラマのトップです。世代別で見ると、M1層(20~34歳の男性)でトップなのは、綾瀬に悩殺されたい青年でしょうか。一方、F3層(50歳以上の女性)でドラマ以外も含めた全番組でトップなのは、高橋一生大好きの熟女層かもしれません。さらに脇には柄本佑や北村一輝、溝端淳平、岸井ゆきのといった芸達者揃いというのも強い。全世代から視聴者を獲得しています」

 ところで、男女が入れ替わる物語は荒唐無稽のようだが、昔からある。

「むしろ王道と言ってもいいでしょう。古くは平安時代の『とりかへばや物語』でしょうか。16年に大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』も男女が入れ替わりますが、新海誠監督は『とりかへばや物語』にヒントを得たと語っています」

 巨匠・手塚治虫も『リボンの騎士』の続編『双子の騎士』で、サファイア王子(姫)が産んだ男女の双子を入れ替わらせている。

「また、中高年層の心に残っているのは、大林宣彦監督の『転校生』(82年)でしょう。尾美としのりと小林聡美が入れ替わるのですが、小林は堂々とした男演技で上半身をさらけ出しているのですが、誰もそれを意識しなかったほど。原作は山中恒の児童文学『おれがあいつであいつがおれで』で、『天国と地獄』のサブタイトルも“私が男でアイツが女!?”などと影響が見られます。そういえば、『天国と地獄』も入れ替わりのきっかけは、『転校生』と同じ“階段落ち”でした」

 さらに「転校生」といえば、もうひとつ気になる作品があるという。

「昨年5月、新型コロナの緊急事態宣言下、民放各局のドラマ制作が中止に追い込まれる中、NHKは『今だから、新作ドラマ作ってみました』という打ち合わせも撮影もリモートのテレワークドラマを3夜にわたって放送しました。その第3作こそ、森下さんの『転・コウ・生』。タイトルからして大林監督のオマージュで、主演は柴咲コウでムロツヨシと入れ替わるのですが、ここに絡んでくるのが高橋一生でした。この3人は大河『おんな城主 直虎』で共演したのですが、この脚本が森下さんでした。今にして思うに、森下さんはNHKドラマで、『天国と地獄』の実験、リハーサルを行っていたのかもしれません」

 恐るべし、森下・綾瀬タッグ。

デイリー新潮取材班

2021年2月21日掲載

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