韓国で劇場版「鬼滅の刃」大ブーム、「耳飾り旭日旗問題」は一蹴、首都圏と地方で格差も

国際 韓国・北朝鮮 2021年2月15日掲載

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「そもそも気づかなかった」

 日本のアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』-無限列車編-」が1月27日に韓国で公開され、人気を博している。「主人公の耳飾りが旭日旗に似ている」という指摘は一蹴され、物語を貫く哲学に共感する人たちが続出。一方で、首都圏と地方とでブームに差が見られるという。

 韓国映画振興委員会が発表した公開初日の観客数は6万6581人で、ランキング1位に浮上した。

 公開2週目の2月8日の数字だと40万人を突破し、46万3149人に達している。

 コロナ禍でソーシャルディスタンスを確保するため、座席数が制限されているなかでのこのレベルの観客動員はブームと呼んで遜色ないだろう。

 同じ1月27日に公開された日本アニメ映画「名探偵コナン 緋色の弾丸」は2月8日の時点で5万5545人にとどまっており、その差は歴然としている。

 劇場版「鬼滅の刃」は公開前から、主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の耳飾りのデザインが旭日旗に似ていると一部の韓国人が騒いでいた。

「耳飾りのデザインを変えないなら観ない」という声が上がり、他方、「オリジナルへの冒涜だ」「そんな奴は観なくていい」などとブーイングも盛り上がったが、結局、配給側は耳飾りのデザインを変更して上映することを選んだ。

 しかし、実際に映画を見た韓国人からは、「そもそも耳飾りのデザイン変更に気づかなかった」という意見が大勢を占め、デザイン問題は空騒ぎに終わったように見える。

 では、なぜここまで「鬼滅の刃」が流行しているだろうか。

「世襲制ではなく」

 アニメ版「鬼滅の刃」を全話鑑賞したという30代の韓国人男性は、その魅力についてこう話す。

「世襲制ではなく、最も強い者が最高位につくという能力主義であるところ」

 2020年の米国アカデミー賞を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」に象徴されるように、韓国はスーパー学歴・階層社会だ。

 それに悩み、その壁に跳ね返され、人生に虚しさを感じている層に強く訴えるものがあったのだろう。

 また、「愛と正義とファンタジー、そして家族を守るという内容が、家族をことに大事にする韓国人の心を揺さぶる」とも、この男性は話している。

 劇場版「鬼滅の刃」はMEGABOXの一般スクリーンの公開に続いて、巨大スクリーンの「IMAXシアター」や映像・音声に合わせて座席が動き、風や香りなどを体感できる「4DXシアター」を有するCGVやロッテシネマでも公開されており、IMAXや4DXの観覧客にポスターやポストカードを贈呈するイベントを行った劇場もある。

 イベント初日の2月3日には多くの韓国人が特典を求めて殺到し、平日にもかかわらず、チケットがほぼ完売した劇場もあった。

 特典イベントは好評で、2月10日にポスター贈呈イベント第2弾を追加で実施した劇場もあったし、一般スクリーン、IMAX、4DXとすべての劇場をはしごして、観覧した熱烈なファンもいた。

 ところで、そういった「鬼滅」ブームはソウルを中心とする首都圏に限られ、地方とはかなり温度差があるようだ。

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