朝ドラ「おちょやん」、元宝塚「明日海りお」登場でいよいよ20%の大台か

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今後はテンポも落ち着くか

 道頓堀編には千代を実の娘のように可愛がる「岡安」の女将・シズ(篠原涼子、47)や、夫で好人物の宗助(名倉潤、52)、その娘で千代の親友・みつえ(東野絢香、23)が登場する。

 千代は朝ドラの主人公としては珍しく、家庭愛にとことん恵まれず、父親のテルヺ(トータス松本、54)はろくでなしだ。それだけに視聴者は、「岡安」の人たちに愛情を降り注がれる道頓堀編を好むのかも知れない。

 これまで少し早いように感じられたテンポも今後は落ち着くはず。京都編は3週間で3年が過ぎ、もったいないくらいだったが、しばらくは「岡安」と鶴亀家庭劇の泣き笑いが描かれる。

 これまでアップテンポに見えたのは通常の朝ドラより短縮されているからかもしれない。コロナ禍のせいだ。朝ドラは1作品につき130話(26週)が基本。だが、前作「エール」は収録が中断したことなどから120話に短縮され、2週間分削られた。

「おちょやん」も「エール」と同程度、10話くらい短縮されそう。次回作「おかえりモネ」の放送開始をNHKは「春」としか発表していないが、5月上旬と見込まれるためである。

 そもそも、大台に乗らない元凶もコロナ禍にあるという見方が支配的だ。開始が2カ月後ろにズレてしまったこと、普段通りの広報活動が出来なかったことが理由である。

 NHK広報局は局内にある放送記者クラブに対し、新作の朝ドラの取材機会を何度も設け内容の浸透を図る。ところが、「おちょやん」の場合はそれが十分に出来なかった。

 通常どおりの広報活動が行えた「エール」の場合、放送開始前に、一般紙とスポーツ紙に計307件の関連記事が載った。ところが「おちょやん」は計93件。3分の1しかなかった。

 どの連ドラも事前PRが果たす役割は大きい。第1話を見てもらえないと、途中から視聴者を増やすのは難しいのだ。ディアゴスティーニが新しい分冊百科を刊行する際、創刊号のCMに力を入れるのと同じ構図である。

 だから民放も熱心に事前PRを行う。ライバル局の連ドラの第1話を潰すために他局が大型特番を編成することもある。

「おちょやん」の放送が始まった11月30日が秋篠宮さまの55歳の誕生日だったことが影響したと見られている。秋篠宮さまが誕生日を前に記者会見し、長女・眞子さま(29)と小室圭さん(29)の結婚について「認める」と発言されたため、各局のワイドショーはトップで特集を組んだ。

 結果、ワイドショーはそろって普段より視聴率を伸ばした。一方で「おちょやん」の第1話はワイドショーに食われてしまった。

「おちょやん」は大阪放送局の制作。かつては大阪が作ると視聴率が東京の時より見劣りし、それは中身がコテコテ(くどい)だからと言われたが、近年は視聴率の違いは見られない。

 コテコテ臭も感じられない。「おちょやん」もそう。言葉こそ関西弁だが、感動や涙をしつこく押しつけるシーンはない。また、千代が強い女性ということもあり、湿っぽいシーンもほとんどない。朝のドラマにふさわしいカラリと明るい内容になっている。

 援軍やプラス材料を得て、大台に到達する日も近いか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年2月7日掲載

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