「幸福の科学信者」が小田原市成人式で“ゲリラスピーチ”の波紋 市と教団の見解は?

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“騙し討ち”にあった市と運営委

 特定の宗教信者によって成人式を“ジャック”されてしまった今回の騒動について、前出の市の担当者はこう説明する。

「毎年、抱負発表をしたい新成人は公募し、事前にどういう話をするのかと聞いた上で、選定させていただいています。今年も、本番前には主催者側に原稿を提出してもらい、前日にリハーサルも行ないましたが、彼が本番で行なったスピーチは、事前に提出した原稿と違う内容が非常に多く含まれていました。彼には約束が違うと説明した上で、アーカイブから彼のスピーチ部分を削除致しました」

 つまり運営委と市は騙し討ちにあったというのだ。今もYouTube上で式典の動画はアップされているが、彼のスピーチ部分だけすっぽりカットされている。では、市は彼に抗議したのかと問うと、

「抗議というよりは、当初とは違う内容だったということで、彼に削除理由を説明しただけです。そもそも今回、市としては、彼の発言が宗教にまつわるものであったかという判断はしておりません。彼からは今のところ返答はありません」

「信教の自由」もあり、役所としては踏み込んだ対応をしづらいのであろう。決して市を困らせる意図はないが、もし彼が事前に本番と同じ原稿を提出していたらどうなったかとも聞いてみたが、

「仮定の話についてはコメントできません。今年に限らずこれまでも、抱負のスピーチをする方には事前に原稿を出してもらっていましたが、主張、信条にも関わることなので、内容よりは言い回しを訂正したりしながら一緒に作ってきたという感じです」

 この件に最も心を痛めているに違いない運営委のメンバーたちの様子はどうかと聞くと、

「まだ、彼らとそういう話をする機会を持っていないので何とも。ただ、動画の削除については彼らの意見も聞いた上で、最終的に市で判断致しました」

幸福の科学に取材を申し込むと回答が来た

 一方、幸福の科学は今回の件についてどう受け止めているのだろうか。幸福の科学広報グループに取材を申し込むと、教団が運営している教育機関「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」からの回答として、以下のコメントが送られてきた。

「男性は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティの学生です。新成人の抱負として、公の場で自らの信仰について情熱をもって語り、信仰に基づいて、周りの人から頂いた愛に感謝し、多くの人の幸福のために生きたいと述べることは、『信教の自由』『信仰告白の自由』の観点からも尊重されるべきものであると考えます」

 このように、問題ないどころか素晴らしいと彼を持ち上げるのである。

 だが、彼がしたことは本当に“大人の行動”と認められるべきことなのか。もちろん、どのような宗教を信じるかは彼の自由である。ただし、騙し討ちのようなかたちで公の場を利用して自分の主義信条を訴えるという手法は、褒められたものではなかろう。

週刊新潮WEB取材班

2021年1月17日掲載

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