ダイ・ハードから33年、B・ウィリスは今も厄介事に巻き込まれている(『アンチ・ライフ』)

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1月15日公開『アンチ・ライフ』★★★★★(星5つ)

 西暦2242年、いままさに滅びつつある地球を逃れ一隻の宇宙船が、ニュー・アース(あたらしい地球)へと旅立った。この船の秩序を守る元軍人たちと、5000万人の富裕層を乗せて。その選民たちの中に滑りこむことに成功した、ひとりの男がいた。コディ・カースリー演じる彼の名はノア。つがいの動物たちを率いたノアが、大洪水後の世界に希望をつなぐ――旧約聖書創世記のエピソードを、この映画はなぞらえているのだ。

『アンチ・ライフ』の“正しい人”ノアは、割り当てられた二段ベッドの下のスペースで眠る男に、自己紹介しようとする。それを「無駄話はゴメンだ、あと鼾(いびき)もな」と遮(さえぎ)る不愛想な元軍人・クレイを演じるのが、ブルース・ウィリス。彼は間もなく宇宙船内で繰り広げられる、熾烈な生存競争を指揮することになる。

 かくして『ダイ・ハード』(1988)のジョン・マクレーン刑事役で一躍スターになった、“世界一運の悪い男”ブルース・ウィリスは、またまた厄介事に巻き込まれてしまうのだ。

ブルース・ウィリス、世界を救い続ける男

『12モンキーズ』(1995)では、人類の99%を死滅させた謎のウィルスの原因を解明するため、過去の世界に送り込まれた囚人を演じた。『フィフス・エレメント』(1997)では、5000年に一度地球に飛来する謎の生命体に立ち向かう、タクシー運転手。『アルマゲドン』(1998)では、急接近する巨大小惑星の軌道を変えるべく宇宙に派遣される、石油採掘のプロ――これらの映画の中でブルース・ウィリスはくり返し、絶体絶命のピンチから人類を守ってきた。

 そんな英雄的なオーラを、『アンブレイカブル』(2000)でサミュエル・L・ジャクソンが扮するコミックのコレクター兼画商も見い出だしていたのかもしれない――彼は、ブルース・ウィリス演じるアメフト競技場の警備員の中に、待望していた“ヒーロー”を見出す。「病的にもろい身体で生まれた自分の陰に対してあなたは陽の存在、不滅の肉体を与えられた、選ばれし者」としての。

 しかしこの救世主も時に、失態を演じる。たとえば『プラネット・テラーinグラインドハウス』(2007)では生物兵器からガスを漏出させ、テキサスの田舎町の全住民をゾンビにしてしまう“迷惑な男”だった。そもそもが、日本で知名度を得始めた頃は、淀川長治や水野晴郎といったテレビの映画解説者に、ブルース・“ウィルス(病原体)”と呼ばれたりしていたのだから……!

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