「若い新婚は1世帯13坪で十分」と言った文在寅…日本から出向中の弁護士が綴る「韓国の違和感」

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「反日、不買」の本当のキッカケは?

 文大統領が掲げた政策の一つである不動産対策も、史上最高の高騰率を記録して国民のマイホームの夢を打ち砕いた。

 人口の3分の2が集中する首都ソウルで、市民はどんなに頑張ってもマイホームを購入することができなくなったのだ。

 にもかかわらず、大統領は不動産政策の失敗を棚に上げ、「若い新婚家庭は1世帯13坪で十分だ」と発言した。国民が悲鳴をあげた劣悪な政策として歴史に残るだろう。

 不動産政策に失敗し、若い世代は13坪で十分と話す大統領は、慶尚南道梁山市通度寺周辺に1100坪余りの土地を購入し、退陣後の幸せな余生を送る準備をしている。

 さて、昨年8月、現政権の扇動で始まった「反日、不買」は実は当初から不発気味だった。

 そもそも一部の文政権支援者は「反日、不買」は自主的活動だったと言うが間違いだ。当時を振り返ってみよう。

「反日、不買」の火種は、皮肉にも『反日種族主義』という書籍が韓国で発売された頃からくすぶっていた。

 同書は韓国において歪曲されてきた歴史について証拠をもとに検証し、韓国の日本に対する認識を改めるべきだと唱えた書籍である。

 韓国内で大きな反発を受けたタイミングで日本でも発売された。

 そして日本国内でもベストセラーとなり話題になっていた最中、2019年7月に日本政府は韓国向け輸出管理を強化した。

 これを韓国政府はいわゆる徴用工裁判の報復処置だと主張したが、今述べたような経緯は韓国ではあまり報道されていない。

 百歩譲って、輸出管理強化が徴用工裁判の報復処置だとするなら原因は韓国にある。

 輸出管理を強化するまで6カ月の間、日本政府は徴用工問題の解決を韓国に促したが、文在寅政権は日本政府の申し出や提案を無視し続けたのだから。

 ところが、このような文政権の非礼なスタンスは韓国内で報道されることはなく、文在寅政府は日本の強行処置だと主張、政府と与党が騒いで国民を巻き込む不買運動が広がった。

「昼は反日、夜はアサヒビール」

 当時の実情はどうだったのか。

 与党議員は日本の輸出管理強化に対する報復措置を取るとして「反日、不買」を議会で宣言する一方、寿司と日本酒を堪能、告発を受けると「日本食は不買の対象外」という苦しい言い訳をした。

 タマネギ男こと曺国前法務部長官の疑惑でも、彼の支援者がデモの帰りに日本人オーナーの割烹居酒屋で、アサヒスーパードライを飲んで刺身を楽しんでいた。

「昼は反日、夜はアサヒビール」。オーナーによると、支援者は常連客だったという。

 売りであるはずの「反日」ですら、きちんと実行できていたとは言えない(それは日本人にとって悪いことではないのだろうが)。

 文在寅大統領は、光化門広場に集まった民衆が「朴槿恵(前大統領)は最悪の大統領だ」と訴えたろうそく集会で注目を浴びて大統領候補に浮上した人物である。

 そのろうそく集会で民主主義を叫んで、文大統領を選出した国民は今どうしてるのか。

 ろうそく集会は本当に民主主義だったのか。

 集会を最初に行った市民団体は、朴槿恵前大統領が退陣すると、活動にかかった経費をフェイスブックに載せて寄付を募った。

 市民団体は、活動資金の約2倍の寄付が集まった途端に連絡が取れなくなったが、国民はろうそく集会を民主主義だと信じて疑わない。

 これも違和感の対象である。

 韓国で仕事をしていると、日本で暮らす以上に政治に敏感にならざるをえない。

 何かと「愛国心、民族」という言葉が行き来し、政治的な会話が日常の挨拶のように耳に入ってくる。
 
 と同時に、今の政権への不満も聞く。

「次の大統領は?」と言えば、周囲のみんなが口を揃えて言う。

「与党にも野党にも人物がいない、日韓関係は次期大統領が誰になっても悪くなることはあっても良くなることはないだろう」

 日本も同じなのかもしれないが、政治の素人である私から見ても韓国の政治家に“人物”はいない。

洪正夫
1980年生まれ。弁護士。主として企業法務に関わってきた。1年半前からソウルの提携先の事務所に出向中。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月7日掲載

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