元特殊部隊員に聞く「すごい身体」になる秘訣 ワニ、アシカの動きから学んだこととは

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伊藤さんが常に持ち歩くモノ

柳瀬 ちなみに、伊藤さんが常に持ち歩いているモノってあるんですか。

伊藤 ケミカルライトは持ち歩いていますね。

柳瀬 アイドルのライブやコンサートで使われるペンライトですよね。AKBのコンサートでは使用が禁止されているみたいですが。伊藤さんの用途はもちろんコンサートのためでは、ない。

伊藤 ケミカルライトは火や電池を使わずに発光できるので、災害時や非常時に便利なんです。例えば、「ケガ人がここにいる」と示すための目印になったり、緊急時の合図になったりもします。

柳瀬 ナタに続き、ケミカルライトも欲しくなってきました。伊藤さんのお話を聞いていると、ナタとケミカルライト、すぐにでも買わなければという衝動にかられるのは私だけか。

特殊部隊が鍛える「5つの能力」

柳瀬 本を読み、伊藤さんと今日お話ししたことで、特殊部隊への認識がかなり変わりました。ハリウッド映画の影響で、特殊部隊の隊員は筋骨隆々になるトレーニングに励んでいるとばかり、これまでは思っていましたから。

伊藤 あれは、皆さんの考える「鍛える」の延長線上の姿をわかりやすく描いているんでしょうね。特殊部隊の求められる能力は文字通り特殊なので、「鍛える」方法もかなり違うんですね。

柳瀬 そうですね。「鍛える」と聞くと腕立てやジョギングを思い浮かべますが、そういうものではないと。

伊藤 はい。特殊部隊では、鍛える能力は5種類あると考えられています。

 一つ目がダッシュ系、二つ目が持久系、三つ目が筋力。ここまでは皆さん、ある程度、想像がつくかと思います。四つ目が、俗に言う「身体能力」です。もう少し具体的にいうと、関節をしっかりコントロールできるかということになります。そして、五つ目が、自分の体重が足の裏にかかっていない状態で自分の体をコントロールする能力です。 

柳瀬 ちょっと、待ってください。自分の体重が足の裏にかかっていない状態ってなんですか。

伊藤 例えばぶら下がっていたり、水の中にいたり、落下している状態ですね。

柳瀬 落下! 日常生活では、なかなか落下しないですね……。

伊藤 落下するかしないかは別にして、通常、生活している上では、自分の体重は足にかかっていますよね。これは、ほとんどのスポーツが当てはまります。ラグビー、サッカー、野球、ボクシング、全てそうです。一方で、水泳や体操の鉄棒は足に体重はかかりませんよね。

柳瀬 なるほど。そういう状態でも自分の体を思い通りに動かせる能力があるかということですか?

伊藤 はい。これは特定のシチュエーションを想定した能力というわけではありません。この五つの能力を持っていれば、それを組み合わせることで、いかなる現場で危機に遭遇しても自分の好きなように体を使いこなせるようになります。

柳瀬 イメージはなんとなく浮かばないでもないんですが……。

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