渡部の席はもはや無し! 小峠、東京03飯塚…「代役芸人」たちが残した爪痕と器の差

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 不倫騒動後、ついに謝罪会見を開いたアンジャッシュ渡部さん。1時間40分に及ぶレポーターとの応酬は、グダグダに終わった。本人の歯切れの悪さに加え、レポーター陣の追い詰め方にも「やりすぎ」との声が上がっている。答える側も質問する側も見ている側も、誰も得しない悪夢のような時間。そもそも負け戦の色濃い会見ではあったものの、当分復帰は難しいことを改めて印象づけた。年末の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」への出演も噂されていたが、白紙となったようだ。

 しかし渡部さんの復帰を阻んでいるのは、本人の振る舞いだけではないだろう。彼の空席を埋めるべく、ピンチヒッターとして登場した芸人たちが爪痕を残しまくったからである。例えばバイきんぐの小峠さんに、東京03の飯塚さん。みな渡部さんと近い世代だが、帯番組での司会を務めるタイプではない。でも彼らの活躍は、渡部さんでなければならない席は無いのだと思わせるに十分だった。

 まずは「相葉マナブ」で代役に抜擢された小峠さん。いつものオラオラなキャラでいくかと思いきや、拍子抜けするほど自然体。むしろ相葉さんからツッコまれるほどである。渡部さんとの違いは、相葉さんとハライチ澤部さんという、おっとりキャラ2人に対する姿勢の差だったろう。2人をまとめようとしていた渡部さんと、2人の流れにまかせる小峠さん。後者のやり方は、番組としてわかりやすい安定感には欠けるかもしれない。でも、相葉さんは小峠さんとのやり取りがすごく楽しそうだ。プライベートでも親交を温めているという。その空気が相葉さんの素の魅力を引き出し、番組の新たな一面を見せることに成功していた。

 渡部さんと同じ事務所の東京03の飯塚さんも大活躍だ。先日出演した「アメトーーク!」内での芸人たちとの掛け合いは「神回」と呼ばれている。トリオとしてキングオブコント2009を制しているが、もともと飯塚さん個人についても業界内評価は非常に高かった。昨年「東京03飯塚大好き芸人」回があったほどである。

「第2次夕食じゃねえか」「どこだよ食べ物の土手っ腹って」と、ひな壇のボケをきちんと拾ってツッコむ力量。「何を言っても面白くしてもらえる」という安心感をもって、共演者たちが暴走しまくる楽しさが漂う。「この収録さ、けっこうみんな楽しんでるよね」と思わずMCの蛍原さんが言ったほどだ。

 いわば渡部代役芸人たちは、相手やその場の空気に身をまかせることができる人たちだ。年下だろうと、芸歴が下だろうと、お好きにどうぞという器の大きさがある。そして彼らを立てることを嫌がらない。それが結果的に、番組の良さにつながると知っているから。渡部さんからにじみ出る、俺が作った枠の中なら暴れてもいいよ、というケチ臭さがない。まさにそのケチっぷりが、不倫相手にも会見でもあらわになったということなのだろう。

代役芸人の筆頭・児嶋さんの評価も急上昇 上手いツッコミよりも下手なツッコミを許す引きの美学

 渡部代役芸人ということでは、相方の児嶋さんを置いては語れない。テレビやラジオでさまざまに代わりを務めた彼の株もまた、急上昇した。「児嶋だよ!」のツッコミしかり、やはり相手の出方に身をまかせる人である。というより、周囲が放っておけない可愛らしいポンコツさがある人だ。今では役者としてのオファーも増えている。渡部さんの相方が彼のようなタイプでなかったら、コンビとしても共倒れしていたことだろう。

 ちなみに「アメトーーク!」の蛍原さんも、相方の騒ぎで苦しんだ身である。けれどもピンMCとしての彼の評価も高まってきた。仕切り力は宮迫さんに劣るかもしれないが、でしゃばりすぎないからこそひな壇メンバーの面白さが伝わる。蛍原さんも、人やその場の空気に身を任せることを嫌がらない人に違いない。

 渡部さんも宮迫さんも、ツッコミや仕切りは実に上手かった。相手や場を自分がコントロールすることに長けていた。けれども今、求められているのは逆の人たちである。上手いツッコミを見せようとするのではなく、相手が下手なツッコミをしても受け止められる太っ腹な芸人たち。代役芸人たちが見せた引きの美学は、渡部さんの時代にNOを告げただろう。

 ちなみに渡部さんの会見後、宮迫さんがさっそくコラボを呼び掛けたようだ。さすがに乗るとは思えない。テレビと同じやり方、すなわち自分がコントロールできる土俵に人を招こうとし続ける限り、復帰は逆に遠のいていく。そのことに、二人はいつ気づくだろうか。

冨士海ネコ

2020年12月13日掲載

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