病院がコロナ患者の受け入れを避ける理由 世界一の病床を持つ日本で「医療崩壊」が叫ばれる矛盾

国内 社会 週刊新潮 2020年12月10日号掲載

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病院が受け入れを避ける理由は「指定感染症」

 医療の逼迫が叫ばれ、東京などで飲食店への時短要請も始まった。しかし、感染のピークはすでに過ぎ、高齢者の致死率も低下している。それでも新型コロナウイルスが特別扱いされるのは、この感染症が指定感染症の2類相当、実質的には1類にも匹敵する扱いになっているためである。

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「安倍前総理は辞任表明会見で、指定感染症からの格下げに言及されたのに、いつの間にかうやむやにされてしまいました」

 と、東京脳神経センター整形外科、脊髄外科部長の川口浩氏が言う。

「11月29日現在、都内の重症患者は67人。重症患者は徐々に増え、いまが緊急事態宣言後の最高値だと報道され、医師会も“医療が逼迫している”と危機感を煽り続けています。しかし、67人という絶対数がはたして多いのか、考えてみる必要があります」

 どうしてだろうか。

「都内にはICU病床が1095あり、季節性インフルエンザで重症化した人であれば、そのほとんどに受け入れられます。インフルエンザが感染症の5類だからですが、新型コロナの患者は、そのうち150のコロナ重症者専用床しか使えません。医療の逼迫を伝えるテレビの報道で使われるのが、一部の病院の画像ばかりなのは、多くの医療機関が、新型コロナ患者の受け入れを避けているから、という側面もあります」

 避ける理由だが、

「新型コロナが指定感染症の1、2類相当で、致死率50~90%のエボラ出血熱と同じ扱いにされており、医療機関は科学的根拠と無関係に感染法上の規定で、エボラ出血熱並みの対応を強いられるためです。一般の患者は、エボラ出血熱並みの患者が通院や入院している病院は当然避ける。そうなると収益が減って病院の経営が破綻するから、ICU病床は空いていても、コロナ患者の受け入れを拒まざるをえません」

「学術的にはインフルエンザに近い5類相当」

 これでは病床を確保できるはずもない。騒がれている「医療崩壊」の恐れは、新型コロナの危険性を過大に見積もって、演出されたものだというわけだ。

「新型コロナの致死率は1~2%といわれ、学術的にはインフルエンザに近い5類相当と考えます。ところが政府は1、2類相当から外さず、分科会も同様で、そのためにコロナ専用病床数という分母が都内では150に制限されている。分母が小さければ、分子が少し増えただけで占有率は激増します。しかし、日本の医師は見識やプロ意識が高いので、政府が科学的根拠にもとづいて類型の格下げをすれば、患者を受け入れてくれる医療機関も新たに出てくるでしょう。現場には“5類でいい”と思っている先生も多いと思いますが、医師会はそれを反映させません。医師会が“類型の格下げをしたら、おたくの病院は新型コロナの患者を受け入れますか”というアンケートをとり、結果を政府に提言すれば、医療の逼迫という概念はかなり変わると思うのですが」

 ところが政府には、医療崩壊を導きうる一番根っこの原因を改善する気が、さらさらなさそうだ。11月28日、読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」に出演した田村憲久厚生労働相は、現状の2類相当を見直す可能性を尋ねられ、

「ウイルスの特性がはっきりわかってくるまでは、たぶんこの指定感染症というかたちで続けていくというふうに思います」

 と返答したのである。新型コロナを指定感染症とする期限は来年2月6日なので、事実上、期限の延長を明言したことになる。また、5類になると指定感染症を外れるので、2類を維持するという意味に違いない。

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