「高齢者向け介護サービス」が経営難で「夜逃げ同然」に、会員は食い物にされ泣き寝入り

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滞納、差し押さえ、提訴、トラブル

 19年3月には、職員の社会保険料約1億円超を滞納したとして、一時資産を差し押さえられた。

 結局、会員に約束したサービスを提供できなくなり、これを問題視した消費者庁が今年6月、消費者安全法に基づき、実名で注意喚起したのだ。

 この注意喚起を受け、7月には会員の掛け金の回収を代行していた大手金融業者が契約を解除したため、以降、注意喚起前には1万人超から毎月5000万円ほどあったという会費収入が途絶えることになった。

 一方、未払いだった社会保険料の滞納も続いているようだ。

 全祉協は現在、山梨県甲州市に有料老人ホーム、長崎市雲仙市に保養施設を所有しているが、いずれの土地と建物も昨年6月に日本年金機構が差し押さえている。

 さらに、今年に入ってからは元職員らが東京地裁に未払い賃金約2500万円の返還を求めて提訴した。

 運営していた有料老人ホームなどの施設の入居者との間でも、入居頭金や前払いした家賃の返還を巡り複数のトラブルが起き、いくつかは訴訟に発展しそうだといい、まさに四面楚歌といっても過言ではない状況なのだ。

 冒頭紹介した週刊新潮「MONEY」欄で、「地面師ともつながりがある」と指摘された現副理事長の男性と、その妻である現理事長(同記事では「元小沢ガールズ」とされている)はこの状況をどう乗り切る公算だろうか。

 前述の関係者は、
 
「どうやら理事長夫婦は全祉協が運営している甲州市の有料老人ホームの一室に『巣ごもり』しているようです」

「おそらく残った不動産などを売却するまでは居座り続けるつもりでしょうが、差し押えをどうやって解くつもりなんでしょうか」

 と首をかしげる。

 何ともたくましいばかりだが、結局食い物にされるのは、掛け金を払っても約束されたサービスを受けられない会員たちである。

「育児」・「介護」・「福祉」の名に恥じぬ始末をつけねばなるまい。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月5日掲載

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