市庁舎に自分用「サウナ」を設置した池田市長 今度は市議に1000万円の損害賠償請求

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百条委員会を設置

 青風会の市議5人は11月25日に記者会見を開き、マスコミに経緯を報告した。渡邉幹事長は冨田市長の“意図”を次のように分析する。

「11月26日、市議会は百条委員会の設置を決めました。市長が市役所にサウナを設置するなどした“公私混同”、タクシーチケットの私的利用の疑惑、市内で新型コロナのクラスター感染が発生した際、どこにいたのかという問題点を調査、追及することが可能になります。市長は委員会の設置を見越して、内容証明で牽制したつもりでしょう。損賠賠償や訴訟をちらつかせることで、我々が萎縮することを狙ったのです」

 ちなみに渡邉幹事長は、市議会から百条委員会の委員長に指名された。

「政治活動は言論によって行われるべきです。市議の行動に問題があったと思うなら、市長は言論で指摘すべきでしょう。しかし実際は何の連絡もなく、いきなり内容証明を送りつけてきました。池田市民約10万人のトップである市長、公人中の公人としての行動としてふさわしいのか、疑問を抱かざるを得ません」(同)

 何にもかも法廷で白黒をつけるという姿勢は問題点が少なくない──渡邉幹事長は指摘する。

「法的プロセスを重視する市長と聞くと、まるで改革派の市長であるかのような印象を有権者に与えられるかもしれません。しかし政治活動に訴訟が付きものとなると、議員は常に訴訟費用を準備する必要が生じてしまいます。その金銭的負担は重いものであり、地方自治のあるべき姿だとは到底思えません」

タクシー代は公表せず

 冨田市長は11月17日、市役所内に設置した家庭用サウナの電気代690円を市に返還したことを公表した。

 だが、同時にタクシー代も返還していたことは発表しなかった。読売新聞が11月20日、大阪版に掲載した記事「タクシー代返還 公表せず 池田市長 サウナ電気代と同日に」から引用させていただく。

《市から支給されているタクシーチケットを市外の自宅に帰るために使用し、タクシー代約16万3000円を市に返還していたことがわかった》

《冨田市長は取材に対し、「市民の理解を得られないと判断し、返還した。(サウナ設置が発覚した)10月の記者会見でタクシー使用について質問が出ず、公表は必要ないと思っていた」と話した》

 デイリー新潮は10月22日に記事を配信する際、市長に質問状を送付した。その中に《池田市の高齢者施設でクラスター感染が起きた際、どちらにおられましたでしょうか?》という項目がある。

 池田市の公式サイトには、《8月11日現在、市内の民間高齢者施設で、市外居住者を含めた27名の感染が確認されています》という広報文が掲載されている。この時の所在地を質問したわけだ。

クラスター時は九州に滞在

 冨田市長は弁護士を通じて、デイリー新潮に《墓参の為に帰省しておりました》と回答した。

 ところが冨田市長は10月30日に市議会議長宛に文書を送付している。関係者によると「百条委員会の設置を嫌がった市長が、“釈明”を行ったものです」と言う。

 そこにはデイリー新潮の回答とは全く違うことが記載されている。8月7日こそ《淡路島へ》と関西圏にいたが、8月8日は《大分・福岡・壱岐へ》とあり、8月10日は《対馬滞在》、11日は《福岡・鹿児島へ》となっている。市内でクラスター感染が発生していた際、九州地方にいたのだ。

 NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」は11月26日、「池田市長サウナ問題で百条委設置」と報じた。記事には冨田市長のコメントが掲載されている。

《冨田市長は「違法性がないこと、公私混同な私的流用でないという考えはこれまでと変わっていない。百条委員会の調査の中で判明していくことだと思います」と話しています》

註1:全角数字を半角に改めるなど、この記事では引用も含め全てデイリー新潮の表記法に合わせた。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月29日掲載

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