早大教授のパワハラ疑惑 過去にスポーツ界の不祥事にコメントしてきた皮肉

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〈早大調査委「元教授がパワハラ」と認定〉

 こう朝日新聞が報じたのは今月7日のことだった。

 記事によると、昨年11月、早大スポーツ科学学術院教授だった友添(ともぞえ)秀則氏(64)がパワハラを行っているとの内部告発があり、大学が調査を実施したという。

 名前を聞いてもピンとくる方は少ないだろうが、何を隠そう友添氏、JOC常務理事をはじめ、スポーツ庁スポーツ審議会会長代理、日本スポーツ教育学会、日本体育科教育学会の会長などを務める、わが国スポーツ界の超重鎮なのだ。

 しかも専門はスポーツ教育学・倫理学で、その第一人者である。ゆえに、近年世間を騒がせたパワハラ事件では新聞各紙の求めに応じて多くのコメントを寄せている。

 たとえば全日本テコンドー協会の内紛を報じた2019年10月13日付毎日新聞ではこんな具合だ。

〈前近代的な古い体質が残っている〉

 さすれば、1882年創立の早大もさぞかし前近代的な古い体質なのだろう。

 友添氏自身は、パワハラを否定しているというのだが、日本体操協会のパワハラ騒動の際に、氏は、

〈被害者が「そうだ」と言えばパワハラに該当するのが基本的な考え方〉(18年12月11日付読売新聞)

 とお説を述べている。これを自家撞着と言わずして何と言おう。

 なお、本件について早大に取材を申し込むと、

「調査に関する案件は、学外秘扱いとなっております。お問い合わせに関しましては回答致しかねます」

 自分のことでなければ、氏はこう批判するだろう。

〈対応は場当たり的で、閉じた空間で行っている印象が強い。(略)説明責任が欠かせない〉(日大アメフト悪質タックル事件を報じた18年5月30日付毎日新聞)

 友添氏は既に10月に大学を退職している。理由は自己都合。処分は無い。

 そんな氏には、日本ボクシング連盟山根明会長辞任の際、18年8月9日付読売新聞に掲載された、ご本人のコメントを捧げよう。

〈様々な疑惑に対して説明責任を果たしていない。(略)スポーツ団体で独裁的な振る舞いがなぜ許容されるのかを検証しなければ、再び同じような問題が起きてしまう〉

週刊新潮 2020年11月19日号掲載

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