ドラマ「恐怖新聞」は“おもこわい” ツッコミどころ満載の珍場面をプレイバック

エンタメ 芸能 2020年10月17日掲載

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 現在放送中のドラマ「恐怖新聞」(フジテレビ系・土曜23:40~)が、“おもこわい”と評判になっている。本作はつのだじろう原作のホラー漫画のドラマ化である。1973年から75年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載され、70年代のオカルトブームの一端を担った名作だ。

 1回読むごとに100日ずつ寿命が縮まるという“恐怖新聞”。その内容はこの先起こる不吉な出来事が予言されている。原作漫画では主人公の中学生・鬼形礼のもとに恐怖新聞が届くが、このドラマでその役回りをするのは白石聖演じる女子大生のヒロイン・詩弦である。この恐怖新聞が届くことで彼女は数々の怪現象に襲われることとなるのだ。原作とコンセプトは同じだが、主人公やその舞台設定はオリジナルである。演出を手掛けるのはあの映画「リング」で世界中を震撼させた中田秀夫。シリーズ構成を担当しているのがホラー小説の名手・乙一ということで放送前からファンの間ではその“恐怖度”にかなりの注目が集まっていた。

 ところがここまで放送された6話分を観ると、確かに怖いことは怖いが、それ以上に笑えてしまうのだ。ツッコミどころ満載で、はっきりいって“おもこわい”のである。

 そこで今回は今週最終回を迎える本作の、これまでの迷場面をプレイバックしてみたい。まずは第1話だ。ラストでいきなりヒロイン・詩弦の父・蔵之介(横田栄司)が死んでしまうというスタートダッシュをかましてくれる。恐怖新聞の予言によってこの凶事を知った詩弦はなんとかそれを回避しようと努力するのだが、結局、水泡に帰してしまう。そしてその死に方がインパクト大だった。神社からの帰り道で建設足場の鉄骨がいきなり落下して、蔵之介の胸部を貫通してしまうのだ。いや、貫通なんてもんじゃない。串刺しである。しかもかなりの大きさの鉄骨だったから、確実に心臓を貫いていて即死のハズだ。それでも手術の甲斐なく死亡するっていうのが……(笑)。

 続く2話ではまず、詩弦の自宅マンションのバスルームでのシーンだ。シャワーを浴びていると背後に気配を感じて振り返るのだが、誰もいない。ホラーものではありがちなベタなシーンかと思いきや、この先の展開が凄かった。

 再び詩弦はシャワーを浴び始めるのだが、突然咳き込んでしまうのだ。喉に異物を感じて口の中に指を入れると出てきたのは人間の髪の毛だった。しかも長い、長すぎる! 指で引っ張ったら出るわ、出るわ、どんどん出るわで思わず万国旗を思い出した視聴者も多かったのでは。もっと壮絶だったのがこの回に起きた凶事だ。恐怖新聞の予言で刃物により女性ひとりが死傷するという事件で、その日時や場所、刺された女の傍らに立つ犯人とみられる男のイラストも新聞には載っていた。

 詩弦はこの事件を防ごうと、恋人の松田勇介(佐藤大樹)と幼なじみの宮沢桃香(片山友希)と3人で協力し合うのだが、その結末がとにかくぶっ飛んでいたのだ。

 当初は若い女性と不倫した結果、家庭崩壊を招いた中年男が妻子を殺すものと思われていた。だが、現場の公園にその男の不倫相手の女性・杏奈(日比野友香)が突如現れる。しかもその手にはサバイバルナイフ、しかも鞘には“南無阿弥陀仏”と書かれている時点でもう笑える。

 だが、その笑いを簡単に超えるシーンが次の瞬間、訪れる。杏奈が男の妻子を見つけて殺しに行くときに猛ダッシュするのだが、その走るフォームが驚くほど美しくかっこいいのだ。それがどれくらいかというと、お前、女子マラソンの選手か! と思わず突っ込みたくなるほどなのである。

 さらにこのシーンで流れるBGMが「トルコ行進曲」という絶妙なセレクトだったうえ、そのまま走って男の妻子を殺害したかと思ったら、次の瞬間に女は自らの首をかっ切って自害してしまう。そして彼女の最期の言葉が「どんだけーー!」のイントネーションで叫んだ「南無阿弥ーー!」って、面白すぎる。

 当然、首からはこれでもかと大量の血が噴き出すのだが、その量も尋常じゃなかった。巨匠・市川崑監督の名作映画「金田一耕助シリーズ」でもやらねえよっていうくらいの血しぶきが飛び散っていたのだ。その場にいた詩弦たち3人に降り掛かる血の雨も半端ない量で、詩弦の顔も面白いくらいに鮮やかに彩られてしまった。

 しかも、この事件に遭遇したことで詩弦の幼なじみ・桃香がおかしくなってしまう。何をしていても血だらけの死体が目に浮かんでしまい、挙げ句、彼氏と別れてしまった。「詩弦が私の人生めちゃくちゃにしたんだ」と言い放つほど追い込まれてしまったのである。

 ここから桃香の復讐が始まる。まずは詩弦の彼氏である勇介を誘惑し、寝取ってしてしまうのだ。簡単に誘惑されてしまう勇介も勇介だが、バレたらバレたで詩弦に詫びを入れてヨリを戻すっていうのも? って感じだ。

 まさにドロドロの人間関係となってしまったワケだが、もともと嫉妬深かったせいか、これによって桃香が完全にクレイジーな人になってしまう。なんと詩弦の乗る自転車のブレーキをこっそりと切断して、彼女を殺そうとするのである。案の定、坂道でブレーキがきかずにリヤカーと衝突する事故を起こしてしまった。朦朧とする意識の中で詩弦が見たのは大型のハサミを手にし、不敵に笑う桃香の姿だった。その笑顔がもう、嫉妬に狂った女の狂気そのものでとにかく不気味すぎた。

スプラッター系の怖さ

 さらに6話では、今度は桃香が失踪してしまう。その行方を追う詩弦と勇介の前に謎の怪現象が! 夜道で桃香のうめき声を耳にして、振り返ると植木鉢に桃香の生首が添えられていたのだ。

 一方の詩弦も夜、自室でスマホの中の桃香の写真をみていると、突然画面にノイズが走って、桃香の顔が歪みだした。さらに背後から手足がねじれた桃香に抱きつかれて「一生お前を呪ってやる!」と言われるのだ。コワ~い。

 この2シーンはいずれもカメラワークとタイミングが絶妙だったが、要はこの段階でもう桃香が死んでいることの暗示である。そして、その犯人が予想の遥かナナメ上をいっていた。なんと勇介だったのだ。桃香はチンピラ3人に「金を払うから、詩弦を襲ってくれ」と依頼するなど、懲りずに詩弦に危害を加えようとしていた。それを止めさせるために懇願しにいったのだが、そこでもみあいになって突発的な事故で死んでしまったのである。そしてその発覚の仕方もシュールであった。勇介がバイトで使用しているデリバリーバッグの中に桃香の生首が入っていたのである。もう「どんだけ~~!」って感じである。この回は桃香の生首が植木鉢やバッグの中に現れる“スプラッター系の怖さ”全開であった。

 突っ込みどころは、まだまだある。詩弦の住むマンションの隣人で不意にベランダに現れてはベランダ越しに詩弦の相談にのっていた片桐ともをが、実は恐怖新聞を配っていた張本人・鬼形礼(坂口涼太郎)だったこともそのひとつだ。

「まだキミの苦しみは終わっていない」と不敵に詩弦に言い放つなど、完全に敵キャラとなっている。原作マンガの鬼形礼は独り孤独に“恐怖新聞”と戦っていく切ないキャラだったのに……。でも、突然ヌッと現れて画面に顔が大写しされると確かに怖い。演じる坂口の怪演もあって、その怖さが増幅している感じだ。

 さらに本作では原作と違って、恐怖新聞から逃れられる方法が描かれている。その方法とは“恐怖新聞(恐怖新聞が届けられていない人にはごくふつうのわら半紙に見えている)に名前を書かせて契約者を他の人間に移す”というもの。メイン演出が中田秀夫だからということでもないが、まんま『リング』なのである。

 そしてそれを知った詩弦は誰かに名前を書かせようとするが、その恐ろしさに気づき、母の歌子(黒木瞳)に相談するのだ。そしてこれによってまたもとんでもなないことになってしまう。

 第6話の冒頭でいきなり恐怖新聞が届かなくなったことが描かれるのだが、当初、詩弦は自分のことを恨んでいる桃香の仕業だと思っていた。

 だが、実は新しい契約者は母の歌子だった。恐怖新聞で事故や事件が起きる現場を把握し、その現場に犯罪者を呼び出して殺されるように仕向けていたのだ。この回、詩弦は“アシカガ”を名乗る謎の人物からのメールで2度も呼び出され、火災事件や発砲事件に巻き込まれ、あやうく命を落としかけたが、その現場で死んだ男は2人とも犯罪者だった。

 歌子は「罪を犯す人間を許せない、死ねばいい」と言い放ち、「今度は誰を殺すか一緒に考えてよ。すっきりするわよ」と詩弦に嬉々として話すのだが、そこには“恐怖新聞”という未知の力を手にした、いや手にしたいと思っている人間のどこか悪魔的な闇の部分が強烈に描かれていたワケだ。

 この歌子の暴走を止めようと詩弦は新聞に自分の名を書き、再び恐怖新聞の契約者となったところで7話が終了した。恐怖新聞と向き合う、逃げないという詩弦の強い決心がそこにあるワケだが、では最終回の見どころはというと、やはり詩弦の運命だろう。さらに“アシカガ”を名乗ったメールで詩弦を2度も事件現場に呼び出した人物の正体も不明のままだ。ひょっとしたら意外な形で“ラスボス”が現れる可能性も残されている。もう、『恐怖新聞』から最後まで目が離せない。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集