「金正恩」が「トランプ大統領」に「慰問書簡」を送ったワケ

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中国の習主席は当初、書簡を送らず、メディアはトランプ批判一色

 今月3日、金正恩(キム・ジョンウン)が、トランプ大統領が新型コロナウイルス陽性の判定を受けるやいなや、慰問書簡を送った。英国や日本をはじめとする世界の首脳が素早く書簡を送ったのは当然として、トランプ大統領にストレスを最も多く与えている金正恩まで「あなたは必ず勝ち抜きます」と書いた書簡を送ったのはどういう風の吹き回しか。その理由を専門家が分析する。

 北朝鮮の宗主国である中国は、トランプ大統領の新型コロナ感染の知らせに喜んでいる。

 習国家主席は当初、慰問書簡を送らなかった。

 中国共産党と官営メディアとネット市民は一斉に非難と嘲笑を浴びせた。

 環球時報の胡錫進編集長は現地時間2日、自身のツイッターに「トランプ大統領と夫人がコロナを軽く見たその代価を払った」と書いた。

 続いて「この知らせ(トランプコロナ感染)は米国内の(コロナ)パンデミック状況の深刻性を見せてくれる」とし「これはトランプと米国のイメージに否定的影響を及ぼして、彼の再選にもマイナス効果を出すだろう」と締めくくった。

 人間の痛みに対してこれほどまで冷酷であり、また世界の平和と安全のために刻苦の努力をしている米大統領の身に起きた芳しくない事態に送られた嘲笑――。どれだけ低劣な行為だろうか。

 その中国と違って、なぜ金正恩はトランプ大統領の新型コロナ感染に突然反応したのか。金正恩が彼に似つかわしくないこのような行動をとった理由を見てみたい。

典型的なスポットライト症候群

 北朝鮮はすでに核弾頭と長距離ミサイルを手に入れたとされている。

 それをいいことに金正恩は、自分が国際社会のリーダーに仲間入りしたかのように傲り高ぶっている。

 そういう状態だから、米大統領の身に異変が生じたという国際社会の重要な問題に、自分の心を表出するのは当然のことだと思っている。大いなる錯覚だ。

 北朝鮮の内部宣伝資料を見ると、金正恩が地球を意のままに破壊することもできるという見栄っ張りのドクトリンを北朝鮮国民に説いているが、地球が壊れたら本人はどの惑星で暮らそうというのか。

 本当に子供でもあざ笑う自己矛盾に陥っている。

 2018年と2019年、金正恩はトランプ大統領のおかげで、世界首脳外交で注目を浴び、その価値を大きく高めた。

 2年のあいだ金正恩は、国際的平和と安定に甚大な影響を及ぼす核問題を手に米大統領とシンガポールとベトナムで2度の首脳会談を行い、さらに韓国の板門店で電撃会談の機会まで持った。

 国際社会のスポットライトを浴び、世界的なニュースメーカーの地位に上った。

 国際社会の関心は、金正恩が核兵器と長距離ミサイルの開発を放棄し、国連の責任ある一員に生まれ変わることを望んだことに由来する。

 しかし、金正恩はまるでゲームチェンジャーにでもなったかのように、非核化ではなく核軍縮を米国に要求し、トランプ大統領の「取引オールストップ」の一発制裁を受けた。

 核の野望を捨てようとしない正体を隠すことができなくなった昨年末、米国に「年末のクリスマスプレゼント」を送る前に核軍縮に同意するようにという最後通牒を提示。

 米国を強く圧迫したつもりだったが、嘘と悪巧みが米国に通じないことに気づくまで長い時間はかからなかった。

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