ファーストレディの肖像 小渕、福田、森、橋龍、村山、野田…各首相の妻たち

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時価評価額で1億5000万円超の資産を誇った村山夫人

 その橋本氏の1代前、自民党と社会党が手を組んだ政権のトップが村山富市氏(96)だった。

 その前年の総選挙では引退を決意。議員宿舎を出ることを想定し、東京・平河町にマンションを購入していた。

 それが1年経って首相の座が転がり込んでくるのだから、人生はわからない。

 引退を模索した理由はヨシヱ夫人の腰痛だったとされている。

 当のヨシヱ夫人との出会いは1951年にさかのぼる。大分市議選に立候補して落選した後に、挨拶で訪れた病院で看護師をしていたのが、他ならぬ彼女。

 市議選では村山氏に投票しなかったと言われたが、交際に発展し、53年に結婚した。

 ヨシヱ夫人は看護師を辞めた後、四半世紀に亘って大分県庁の職員食堂の経営に携わった。それがその後の蓄財に実を結ぶ。

 質素な暮らしぶりから平成の仙人とも言われた村山元首相とは違って、不動産や10名柄以上の株式を保有するなど、資産は時価評価額で1億5000万円を超えていたのだ。

 最も評価額の高い資産は、1970年に100万円余で購入した別府市の駐車場で、94年の段階で4400万円超に値上がりしていたという。

 もっとも、村山氏に関しては、ヨシヱ夫人の体調が優れないこともあって、2女の中原由利さんが外遊や選挙応援などをこなしていた。

 ファーストレディとして極めて稀なケースと言えるだろう。

菅義偉首相夫人と同様に、目立たず裏方に徹してきた野田夫人

 最後に登場するのは野田佳彦元首相(63)の妻・仁実さん。菅義偉首相夫人と同様に、目立たず裏方に徹してきた人物で、語られるエピソードはそう多くない。

 実家は東京・江戸川区の町工場経営で、都内の大学で声楽を専攻。野田氏とは代議士になる前の年の1992年に結婚している。

「料理が得意で、永田町随一と呼ばれる野田さん同様、お酒もかなり好きなんです」

 と、野田氏の元側近。

 村山元首相夫妻とは違って、資産の面でも質素そのもの。資産は船橋市内の自宅の土地・建物の計1514万円と、仁実夫人の分と合わせた定期預金260万円。マイホームには3000万円余のローンが残っていた。

 始まったばかりの公邸生活について、「戸惑う。今までずっと(議員宿舎の)狭い部屋に住んでいたので、いつもそばにいた家内を見つけるのが大変だ」「家内を一生懸命なだめながら『家庭内連立』に努めている」などと語っていた。

 超庶民派で売った野田氏が、消費税増税法案の成立に命を賭けるとまで主張し、結果、政権与党・民主党の分裂、解散総選挙での惨敗を招いたのは皮肉なことで、人生はわからないという他ないのだろう。

週刊新潮WEB取材班

2020年9月28日掲載

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