「伊藤沙莉」が本音で語った女優人生 子役時代の迷い、樹木希林さんへの想い…

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同い年で教師と生徒役

――「ホテルローヤル」で教師役だった岡山天音さんとは、実は2人とも26歳で同い年。どうやって年齢差を表現されたのですか?

 私は純粋に子供っぽく楽しんでいるように振る舞っただけです。岡山さんが大人の葛藤を表現してくださいました。だから年齢差の空気感をつくり上げてくれたのは岡山さんですね。私は女子高生特有の「なーに考えているんだろうな」「何も考えていないんだろうな」という雰囲気を出せたらいいな、と思いました。フラーっと生きているような感じです。でも本当は女子高生もいろいろ考えているんですけどね。多感な時期ですから。

――撮影現場に行く前から、その役づくりを決めていた?

 私は事前に構想を練るタイプじゃなくて、現場での感覚や感情で役をつくります。ガチガチに事前に決めていくと、監督の求めてくれたものに合わせにくくなることがありますからね。柔軟性を忘れてしまうと、がんじがらめになり、何もできなくなる恐れがあると思うんです。それに自分が作り上げてきたものが全てになってしまうと、共演する相手の方から出てくるものに素直に反応できなくなることもあります。自由にお芝居している時が一番楽しいので、その場で生まれたものに素直に反応するのが、自分のやり方だと思っています。

――「ホテルローヤル」はどんな物語だと捉えていますか?

 冷たいようで、あったかい話だと思います。愛情がなみなみ注がれている人が出てこない。でも、それが不幸というわけではない。飢えているということが魅力的に表現された作品だと思いました。いろいろな人生が描かれています。

――これから先、女優としての目標は?

 樹木希林さんと共演させていただくのが夢だったんですが、それが実現する前に樹木さんはお亡くなりになってしまいました。訃報に接した時、地方ロケに出ていて、ホテルの部屋にいたのですが、実はメチャクチャ泣きました。落ち込みました。人前に居なくて良かったと思います。将来、樹木さんになりたいとか、なれるとかは思っていません。ただ、私が死んだとき、誰か1人でもいいので、「共演したかった」って思ってもらえるような女優になりたいですね。

○伊藤沙莉(いとう・さいり)1994年5月、千葉県生まれ。2003年、「14ヶ月~妻が子供に還っていく~」でデビュー。2015年には「トランジットガールズ」(フジテレビ)に主演。今年8月には第57回ギャラクシー賞テレビ部門の個人賞に輝いた。キーパーソン役を務める「ホテルローヤル」の主演は波瑠(29)。共演は松山ケンイチ(35)、波瑠の両親役の安田顕(46)、夏川結衣(52)ら。

「ホテルローヤル」
11月13日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー   
配給:ファントム・フィルム
(C)桜木紫乃/集英社 (C)2020映画「ホテルローヤル」製作委員会
ヘアメイク・AIKO スタイリスト・吉田あかね

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月28日掲載

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