「文政権」の頭痛のタネ…中国車に敗北「韓国GM」、それでも労組はストへ

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GMグループ内で目覚ましい躍進を見せる中国車の後塵を拝すことに

 生産車種の販売不振と労使間対立から、経営破綻の危機に直面した韓国GM。一旦は北米向けの輸出台数が順調に推移し、復活への道筋が見え始めていたものの、再び労働組合が賃上げを求めてストを始めるという。韓国政府からも巨額の資金を投入して救済し、復活の兆候が見えていたというのに、何とも文在寅大統領としては頭の痛い話なのだ。。

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 現在、韓国GMが好調なのは決して自助努力によるものではない。

 後述するが、2018年の経営危機の際に、米国GMと韓国政府、産業銀行が交わした合意事項「戦略車種2車種の生産割り振り」の該当車種が、北米で販売好調なためである。

 一方、GMグループの中で韓国GMが得意としてきた戦略小型車の分野では、中国の上汽通用五菱汽車が目覚ましい躍進を見せている。

韓国GMが開発した車種の次期モデルを上汽通用五菱で設計したというケースも出てきている。

 米中関係などの不安定要素もあるが、韓国GMの動き次第では世界中のGM系ブランドのディーラーに中国車が並ぶ日もそう遠くないといえるだろう。

 韓国GMは、その前身企業(新進工業)が1954年に設立された韓国で最も長い歴史を持つ完成車メーカーである。

 同社は、新進自動車工業、GMコリア、セハン自動車、大宇自動車、GM大宇、そして韓国GMと社名を何度も替えながら今日に至っている。

 また、その歴史を見てみると、過去にトヨタ、GMグループ各社(オペル、ホールデン、いすゞ)、日産、ホンダ、スズキなど多くの完成車メーカーと提携を行っている特徴がある。

世界市場におけるGMの没落

 韓国GMは、GMグループ内で世界戦略小型車の開発と生産を担当している。例えば日本でも販売されたオプトラ(韓国名:GM大宇・ラセッティ)、アベオ、キャプティバなども韓国GMで手掛けた車種である。

 2000年代中盤、GMは欧州やアセアンなどの地域にシボレーブランドを積極的に展開し、その基幹車種が韓国GMの車たちであった。

特にモータースポーツ界では、シボレー・オプトラがWTCC世界ツーリングカー選手権で活躍し、注目を集めた。

 オプトラはシボレーブランド以外にも、中国ではビュイック、米国ではスズキブランドで売られるなど名実ともにGMのワールドカーと位置づけられていた。

だがその後、この車種を売っていた各ブランドの業績が振るわないことなどを考えると、それが市場の評価であると考えられる。

 シボレーブランドを前面に打ち出して世界市場に打って出たGMであったが、結果は好ましいものではなかった。

そしてGMは、欧州市場では2015年にシボレーブランドの大衆車展開を取りやめ、さらに2017年にはオペルとボクスホールを売却した。

欧州から完全に足を洗いたいかのような動きである。

 アセアン市場でもシボレーは、今年3月でインドネシアから撤退済、タイでも今年年末に撤退することが発表されている。

GMはこの数年、その世界的な規模を大幅に縮小する動きを見せているのだ。

 当然、韓国GMもGM本体の規模縮小の影響を大きく受けており、2014年から5年連続で大幅な赤字を記録、その累積額は4兆ウォン超にも上っている。

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